「美しい大人の恋」マディソン郡の橋 ke_yoさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい大人の恋
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公開当時、私はまだ若く、中年男女の不倫映画がそんなに流行るなんて不思議だな、くらいの印象しか持てなかった。
日本の中年男女の不倫映画と言えば失楽園だったので、こちらよりかなり肉感的で、それもあって余計に深い意味などないのかと考えてしまっていた。
歳と経験を重ね、気持ちだけでは叶わない恋や愛があることも知り、それとは別の温かな愛があることも知った今だからこそ、この映画に心打たれた大人たちの気持ちが、ようやく分かるようになった。
ロバートは、きっと無意識に、家庭を壊すリスクや愛の終わりを冷静に考えて踏み止まれる彼女の理性や知性と、人に対する愛の深さを感じて、フランチェスカを愛してしまったんだろうと思う。
フランチェスカもまた、雨の降りしきる中、強引に車に声を掛けに来ない彼の想像力と豊かな優しさと包容力を感じて、彼に惹かれたんだろう。
2人はああいう形でしか出会えず、ああいう形でしか愛しあえなかったのだろうと感じた。
そして子供達も、家族を捨てて男に走るような女でなかった母親だからこそ、父親以外への愛情を理解する事が出来たんだと。
彼等がそれぞれのパートナーと、愛情深い日々を送っていけるキッカケにもなったようで。
映画が始まってスグの兄嫁の「ワクワクするわね」発言の不謹慎さも、終わり頃のキスシーンでチャラだ。
素晴らしい大人の作品でした。
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