マグノリアの花たちのレビュー・感想・評価
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悲しみを笑顔に変えて・・
女性のための女性たちによる笑いと涙の絆の物語。マグノリアは舞台となったルイジアナの州花、南部の女性の象徴なのだろう、原題ではSTEELが付いているから美しさに逞しさも具わったということだろう。ロバート・ハーリングの妹の実話を基にした戯曲をハーバート・ロスが実写に展開、心痛む話なのだが励ましを貰える不思議な魅力に満ちた秀逸な作品。ハーリングも牧師役で出演。ロス監督も夫人を亡くし傷心からの復帰作、ハーリングの戯曲を観て奮い立ったらしい。
花達を演じる女優陣の凄いこと、甲乙つけがたいが意地悪ばあさんの漫画のようなウィザー(シャーリー・マクレーン)と町長の未亡人クレリー(オリンピア・デュカキス)の掛け合いは見どころ。
監督は男なので彼女たちの感性やアドリブに任せたようだが役を超えたリアリティのある存在感は素晴らしい。
脚本家や監督自身も妹や妻との別れを経験したからこそ単なるお涙頂戴の悲劇にしたくなかったのだろう、悲しみを感謝に変え、女性たちに送ったエールのような映画でした。
美しいルイジアナの四季が巡る中で、世の中を回しているのは女性なのだ、ということをしみじみと思わせてくれる大好きな映画。
①原題通り本当に強い(steelな)のは男ではなく女性、世界を、世代を継いで行くのは女性だということを、笑いと涙の中でほのぼのと描いている大好きな映画。②生命維持装置が止まり命が消えていく娘の手を握り続ける母親役のサリー・フィールド。葬儀の後、その時の感情を独白する台詞が白眉。『steelの様に強い筈の男たち(父親・夫)はあの娘(こ)の死を直面できなくて出ていったけれど、あの娘が私の中から出てきた時と、あの娘が私の手の中から去っていく時と、あの娘と一緒に居られた私はなんて幸せな女なのかしらと思った』。とても哀しいけれどとても強い言葉。男には到底感じられない世界だろうけど。③娘の葬儀のあと抑えていた悲しみ・怒りをついに爆発させた母親、この涙のシーンから笑いのシーンへと転じさせる演出・演技も素晴らしい。悪友であるオリンピア・デュカキスとシャーリー・マクレーンとの掛け合い漫才のような演技は映画のあちこちで見られるが、ここは特に息がピタリとあった好演で笑わずにはいられない。実人生でもあるあるな場面だけれども、普通は気まずくてどうしたら良いか途方にくれるのもの。④
良い映画です
実話の小説を読んでみたいと思ったし
ウェディングのアルマジロケーキが素晴らしい。
そしてジュリアロバーツの死ぬ前の倒れ方も
半端なくて観てよかった。
出産は命がけです。
やっぱり好きじゃない男の人の子供を産めないし
優れた遺伝子を残したいと思うように出来てる。
短命でも大好きな人の子供を産みたくて産めた!
それだけで長々と人生を生きるよりも良いのかも?
なんて一瞬思った。色々と考えさせられる映画。
泣けた
糖尿病を患うジュリアロバーツがリスクを承知の上で子供を産む。そんな娘に腎臓移植をする母、美容院のママ、近所の常連さん達の話。
出てくる男が全員馬鹿っぽいのがチョット気になったけど、女の世界を覗き見る感覚で、最後まで楽しく観れた。
年齢も、考え方も違う女性達。アメリカだから、ここまでオープンに話をするのか、実は日本でも、これくらいの話は普通にしてるのか。
最後、亡くなったジュリアロバーツの棺を前にしたやり取りには、思わず涙した。女の友情もいいものだ。
大事なものはなくならない
私が一番共鳴した部分をちょこっとご紹介。
それは母と娘の関係です。サリー・フィールド演じる母親の姿とジュリア・ロバーツ演じる娘の姿、幾度となく二人が向き合いそれぞれの思いをさらけだすシーンがあります。
幸せな結婚、妊娠と育児、仕事の両立、普通にどこにでもいる女性の、生涯の中で最も充実し輝く時期です。
「面倒をかけるのは今日でおしまいね。」といって、結婚式の後、住み慣れた家を出ていく時に、ピンクのスーツにコサージュを母につけてもらいことを願う娘。沢山の仲間に祝福され満面の笑みで手を振りながら、愛する人と車に乗り込むそんな娘を、母は嬉しそうに見守るのですが、一瞬、その顔が不安そうに所在無いげに、曇ります。そう、母だけが見せる顔です。
そして病故、試練に向かう娘の妊娠を素直に喜べない親の苦悩。そんな母に娘は憎まれ口を叩いてしまいます。「自分の思い通りにならないのが気に入らないの」かと。
凄くよくわかるシーンです。「長い空洞の人生よりも例え30分でも詰まっている生き方がしたいの。」娘の懇願する顔には、どんな母でも勝てません。人工呼吸器を外す息を呑む数分間のシーン、次いで墓地での母の激白。
「あの素晴らしい娘が生まれた時を見守り、去っていく時を見守った。私の人生で最も貴重な一瞬」と。もう涙腺決壊もいいとこです。終始、娘を温かく見守り助け、最後まで深い情愛で支えた母の姿をこんなにも見事に巧く描き出した作品はそうないでしょう。
そして、この作品がただ重く切なく悲しいストーリーにならなかったのは、いうまでもなく、母娘の周りにいてくれた、時に家族以上の女友達の存在が、大きかったからでしょう。深い悲しみの中でも人は笑顔の花を咲かすことができるのだということを見せてもらいました。
「そうやって、時は流れていく」
いつかは悲しみも切なさも癒されていくもの、大事なものはなくなったのではなく、胸の奥深い所へしまっただけ、そして、希望の花をまた咲かせるために人は前に進むのです。
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