マイケル・コリンズのレビュー・感想・評価
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エイモン・デ・ヴァレラが彼に対して忖度した
『エイモン・デ・ヴァレラ大統領』と言う人物と『マイケル・コリンズ』との関係は結局内戦を生んだのだ。
どんな美辞麗句で飾ろうと、アイデンティティとナショナリズムの方向性の違いと、経済に対する欲が絡んでいるはずだ。
この映画はそれは説明していない。
そして、この後、アイルランド自由国は第二次世界大戦へ引き込まれて行く。言うまでもなく、アイルランドが取った行動は『中立国』である。一見、平和で民主的と思われがちだがドイツにとって敵国になるイギリスからの独立なのだから『ナチスドイツ』に対しての中立国になるのである。
さて、さて、
戦後しばらく『エイモン・デ・ヴァレラ』が大統領であった。従って、反対派との内戦は続いたのだ。
僕はIRAと言えば『夕陽のギャングたち』を思い浮かぶ。『ダイナマイトでテロ』のイメージである。
実情は知らないが、アイデンティティとナショナリズムと経済の方向性の違いなのだ。宗教とか民族とかだけではない。勿論、二人の個人的な友情の問題なんてない。
従って、マイケル・コリンズは独立の英雄なんかではない。
エイモン・デ・ヴァレラが彼に対して忖度したと考えるべきだ。
この映画の凄い所はそれが良く分かった。イタリア製西部劇を見ているようだった。
追記
『夕陽のギャングたち』と『アルジェの戦い』をリスペクトしていると感じた。
昨日の友は今日の敵
アイルランドの歴史をもっと知りたいと思って観た。
ヴェネツィア国際映画祭で最優秀作品受賞に輝いた本作品。
アイルランドではこの話題で持ちきりだったという。
他のアイルランド紛争を描いた作品同様、話は込み入っていて難解である。(そう感じる)
とにかく誰が敵か味方かわからなくなってしまうのだ。(自分だけ?汗)
あんなに信頼し合っていた同志(ハリー)とも簡単に(そう見える)決別し、戦うことになる。
もう誰を信じていいかわからん。
生まれ故郷に帰った時、ヒーロー扱いかと思いきや結局狙い撃ちされてしまう。
国中を複雑に分断してしまう紛争に、善悪はないのだろうか。
実はコリンズには婚約者以外に付き合っていた人妻がいたらしい。
本作品ではキティにぞっこんのような描かれ方ではあるが。
それだけで1つの映画が作れそう、とのこと。
英雄の苦悩
英雄として讃えられるマイケルコリンズを羨み、その地位を代わりたいと思うものがいる。
みんな同じ目的で立ち上がったはずなのに、その中で嫉妬や妬みが生まれる。
だから争いはなくならない。
欲望はなくせないから、欲望を他人にも広げなきゃいけない。私欲を公欲に。
マイケルコリンズの人柄は、息抜きが出来ず、自分をさらけ出せない人にとっては、腹が立つものかもしれない。
そういう人にとっては、マイケルコリンズみたいな性格の人は、自分を振り回す人みたいに見えてしまうのもの。
未来をくれ
過去はもうたくさん
一つの勝利は、新たな戦いの始まりと気づかされる。
きっとアイルランドの愛国心に偏ったものなんだろうけど、僕は人の誠実な生き様に感動できました。
マイケルコリンズは自分の師である人物と自分の信念の調和を求め苦闘し、人間らしい人物でありながら、イギリスとの休戦のために自分を捨て敵を殺し続けた。
そして彼は・・・自分の師が独立国の大統領になる姿を心の底から願っていたに違いない。この感動はしばらく消えそうもない。
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