「イタリア系アメリカ人の哀歌」マーティ Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
イタリア系アメリカ人の哀歌
ブロンクスに住む34歳の独身男マーティを主人公に、イタリア系移民でカトリックの小市民の生活をリアリズムで描いた小気味よい映画。イタリア系というとピエトロ・ジェルミの「鉄道員」を連想するが、ニューヨークが舞台の為か、切れ身の良い映像で展開が無駄なくスムーズに流れ、90分の放映時間があっと言う間に終わってしまった。映画と云うより、ニューヨークの舞台劇の趣向が勝った内容で、完成度の高さもその範囲内である。1950年代のアメリカ映画において、美男美女ではない容貌の劣る男女の恋愛映画は異色で貴重だ。悪役で名を馳せたアーネスト・ボーグナインの人柄の良いチャーミングな役も珍しいが、演技も充実している。主人公の母親と伯母の姉妹の会話が、どこの国にも通じる(特にイタリアと日本)嫁いびりの内容で笑わせてくれる。
コメントする