「心の奥深くに触れる絵を描きたい」炎の人ゴッホ こころさんの映画レビュー(感想・評価)
心の奥深くに触れる絵を描きたい
繊細さと内に秘めた激しさを併せ持つフィンセント・ファン・ゴッホをカーク・ダグラスが熱演。
パリで画商として働きながら兄を経済的に支え続けた弟テオをジェームズ・ドナルドが、ポール・ゴーギャンをアンソニー・クインが演じる。
ゴッホは伝道師として炭鉱の街ボリナージュに赴任し、劣悪な環境の下で働く炭鉱夫達の暮らしぶり心を痛める。
ゴッホが描いた作品は、タッチや色使いが独特で、温かみがある。
ただひたすらに絵を描くことに真摯に向き合いながらも、精神の安定を失っていくゴッホの姿に、彼が生きていた当時、もっと作品が評価されていたなら、と考えてしまいます。
機会があれば、ゴッホを題材にした映画を観ていきたい。
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕)
こころさん、共感とコメントありがとうございます。
19世紀の絵画市場は現代ほど活発ではなく、極一部の資産家の趣味の延長であったと思います。18世紀以前ですと、王室や貴族、権力を持っていた教会の依頼で画家の仕事が成立した背景がありました。音楽家もモーツアルトなどの古典派時代の教会専属や宮廷に雇われた立場は、芸術家として現代のように扱われていません。全てはフランス革命(1789年~1795年)を切っ掛けに市民文化に芸術が浸透していったのだと思います。階級社会がまだ根強くの残っていたゴッホの時代も、映画で描かれていたように権威ある上流階級の批評家たちに認められて、初めて職業を名乗れたと想像します。
小学生の頃、父の書斎で百科事典や美術書を見るのが好きでゴッホを知りました。『ひまわり』や『アルルの跳ね橋』が最初の記憶です。『星月夜』『種をまく人』『オーヴェルの教会』『タンギー爺さん』『ガシェ博士の肖像』『ジャガイモを食べる人々』などが特に好きです。色使いの鮮烈さ、大胆かつ繊細なタッチ、絵全体から感じるエネルギーの放出が、素晴らしいと思います。本物をまだ観ていないので、今催されている大ゴッホ展には足を運ぶ予定です。

