「このバカ親は果たして、成長したのか 『タリタクム♥』」ポネット マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
このバカ親は果たして、成長したのか 『タリタクム♥』
ネタバレありあり!でも、ネタバレされても、この映画は何回でも感動できると思う。
ちょっとたけ笑う事を忘れた女の子の話。
『楽しむ事を学びなさいって』
いい笑顔とまでは言えないが、不安を抱えながら、ポネットは父親に向かって、笑顔を作る。そして、同じ事をもう一度言って映画は。
父親の返す言葉が無いのは、ポネットが自らの力で自立したと言いたいのだ。少女にとっての地獄の様な終末を、少女は一人で乗り越えたのだ。
少女は自立したのだ。
しかし、
少し長すぎる。女の子だから、男の子と違って、もっと早く悲しみは乗り越えられると思う。その点がこの監督が男である事の男目線な所だと思う。
そして、
困難な事を乗り越え、何事もなかった様に振る舞い、満面の笑顔を振りまく少女の姿を、最後は見たかった。
この父親の行動は、ポネットが母親から離れられない原因を作っていると思う。
『お前はパパと同じ世界にいるんだ。そんな事考えると、いつまでも悲しいぞ』
その言葉に返す少女の言葉が
『怒ることないのに』しかし、バカな父親は
『馬鹿な事をしなけりゃ怒らない』
少女の胸が潰れる。
この少女に投げかける言葉ではない。演出家はアイロニーとして描いているが、現実に立ち返った時、このバカ親は果たして、成長したのか?と考えてしまう。
追記
フランス映画だけあって『禁じられた遊び』をリスペクトしているね。
追追記
少女のギブスに父親は犬の絵を書いてあげる。微笑ましい場面だが、僕はその絵を見て、ポネットと同じ思いを持った。ポネットは終始この絵と時計は見ない。
ポネットを救ったのは、ちらほら出てくるガキや全能の神を信じる少女やキャンディーじゃない。そして、何故?母親に会えないか?つまり、怖いから。だって、怖いから、人形を母の棺に入れる事すら拒んでいた。だから、最後に、彼女は勇気を出して、母親に合うために旅へと出た。お気に入りのリュックを背負って。その中には赤い防寒用のセーターが入っていたはずだ。自らの意志で入れた赤いセーターが。