放射能X

劇場公開日:

解説

「フェザー河の襲撃」のデヴィッド・ウィスバートが製作した空想科学スリラー1954年作品。ジョージ・ワーシング・イェイツの原作を「井戸」のラッセル・ヒューズが潤色、「地獄への退却」のテッド・シャーデマンが脚色し、「フェザー河の襲撃」のゴードン・ダグラスが監督にあたった。「死の砂塵」のシド・ヒコックスが撮影を、「荒原の疾走」のブロニスロー・ケイパーが音楽をそれぞれ担当。出演者は「アスファルト・ジャングル」のジェームズ・ウィットモア、「北京超特急」のエドモンド・グウェン、「コマンド」の新人ジョーン・ウェルドン、「ホンドー」のジェームズ・アーネス、オンスロー・スティーヴンスらである。

1954年製作/アメリカ
原題または英題:Them
配給:ワーナー・ブラザース日本支社
劇場公開日:1954年8月

ストーリー

ニュー・メキシコ州警察のベン・ピータスン部長(ジェームズ・ウィットモア )は、砂漠をパトロール中、何かひどいショックをうけたらしい5、6歳の少女を発見し、またそこからかなり離れたところで蟻酸にやられた父親の死体を発見した。附近に残された足跡を手がかりとして大がかりな調査団が組織された。メムバーの中には昆虫学者ハロルド・メドフォード博士(エドモンド・グウェン)と令嬢のパトリシア博士(ジョーン・ウェルドン)が加っていた。一行は苦心惨胆の末、足跡の主と目される体長10尺余りの巨大な蟻を発見した。メドフォード博士はこの大蟻を原爆実験の放射能による突然変異によると推論、空中からの再調査で直径約10メートルに及ぶ蟻の大穴をつきとめた。一行は近代火器を活用して大穴に迫り、大蟻を全滅したが、女王蟻が1匹だけ何処かへ飛び去った。ワシントンの会議でメドフォードは女王蜂が繁殖する前にこれを発見して滅さねばられぬと力説、捜索は極秘裡に行われることになった。一方、女王蜂はロス・アンジェルスで繁殖しはじめ、街は次々と起こる殺人事件に戦々戦恐々としていた。調査の一行は苦心の末、暗渠内に大蟻が棲息していることを知り、ピータスンは怪物の犠牲となって倒れたがついにこれを全滅することに成功した。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第27回 アカデミー賞(1955年)

ノミネート

特殊効果賞  
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映画レビュー

3.0ミュータントの元祖?

2019年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

邦題は放射能Xだが原題はTHEM(やつら)、ショックで茫然自失の生き残りの少女、蟻酸を嗅がされて記憶がよみがえり発した言葉がTHEM、やつらが来るだった。
核実験とモンスターで先鞭をつけたのは「原子怪獣現わる(The Beast from 20,000 Fathoms)」だが、氷に閉じ込められ冬眠状態だった古代恐竜が核実験で目覚めた設定だったので放射能と突然変異を結びつけたモンスター映画は本作が起源ではないだろうか。この種の映画に原題にない放射能や類語を邦題につけたがるのは被爆国の特殊性、盛んな核実験など時代背景もあるのだろう。
進化生物学的にも昆虫の遺伝子システムは奇異に富んでいるし、酸素濃度の高かった古代では1mのトンボが実在したらしい。虫眼鏡で見るとグロティスクな形相だし、身近にいる虫の巨大化はまさに悪夢のモンスター、ミュータントものは子供たちに大うけ、味を占め蜂、蜘蛛やカマキリ、バッタにサソリとブームになったが、所詮虫なので火器には弱い、粗製乱造で次第に飽きられたのだろう。脱線したが本作は巨大蟻の恐怖だがなかなか正体を見せずサスペンスタッチで話が進むので否応なく惹きこまれてしまう。モンスターもので博士が重要な狂言回しとなる点でも開祖かもしれない。もう少し動きが俊敏だと怖さが出るのだが当時の特撮技術では致し方ないでしょう。古典SFの話題作、勉強になりました。

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odeonza