ベンハミンの女

劇場公開日:

解説

憧れの美少女をさらって家に閉じ込めた冴えない中年男。2人のギクシャクとした恋愛と、彼らを取り巻く奇妙な人間関係を、独特のユーモアと美しい映像で描いた一編。監督は当時28歳のカルロス・カレラで初の長編劇映画。カレラはメキシコ国立映画研修センターに学び、88年から日本との合作を含む短編アニメを製作。その1本「MALA YERBA NUNCA MUERD(雑草は決して噛まない)」(88)がビルバオ短編映画国際フェスティバル、モントリオール国際映画学校フェスティバルで受賞。90年、イグナシオ・オルティスと共同執筆した「ベンハミンの女」のオリジナル脚本が同センターの第1回長編映画コンテストで選出され、映画化の運びとなった。主演は「PNDC/エル・パトレイロ」のエドゥアルド・ロペス・ロハスと、「赤い薔薇ソースの伝説」のアルセリア・ラミレス。共演は「サン・セバスチャンの攻防」のマレナ・ドリアほか。メキシコと日本の間の映画交流に尽力している名古屋在住の翻訳家・間宮敏彦氏が作品に惚れ込み、自主配給を買って出た“快挙”でも話題となり、東京公開時には氏が自費で主演女優のラミレスを日本に招いた。91年モントリオール国際映画祭新人監督賞ほか各国の映画祭で受賞。

1991年製作/90分/メキシコ
原題または英題:La Mujer de Benjamin
配給:間宮敏行
劇場公開日:1996年3月9日

ストーリー

少し頭の足りない五十男のベンハミン(エドゥアルド・ロペス・ロハス)は、田舎の小さな村に姉のミカエラ(マレナ・ドリア)と2人暮らし。ミカエラは小さな雑貨店を営み、二人の生計を立てているが、ベンハミンは仕事もせずに、遊び仲間たちと毎日をのんびり過ごしていた。ある日、ミカエラに連れて行かれたミサで、魅惑的な美少女ナティビダ(アルセリア・ラミレス)に出会ったベンハミンは、たちまち彼女にひと目惚れしてしまう。初恋のような感情に悩む彼を「愛しているなら、さらっちまえよ」と仲間たちがはやし立てる。ナティビダは母親と2人きりで暮らしていた。家計は苦しく、母親のしつけは厳しい。狭い村での自由のない生活にうんざりしていた彼女にとり、時折、食料品の配達に村を訪れる、若いトラック運転手レオナルドの誘惑はとても魅力的だった。レオナルドに会うため家を抜け出した夜に、ナティビダはベンハミンにさらわれる。ベンハミンの部屋に連れ込まれた彼女を見て、ミカエラはすぐに追い返そうとするが、教会の神父への秘めた激情を書き綴った日記をナティビダの前で弟に読み上げられてしまい、逆に監禁に手を貸してしまう。2人に激しく反発し、1度は逃げ出そうとしたナティビダだが、元の生活に戻りたくない彼女は連れ戻しに来た母親を拒み、ベンハミンの家にとどまってしまう。彼の崇拝にも似た恋心を巧みに操り、ミカエラを牽制しながら家での主導権を握っていくナティビダ。しかし、ミカエラの恋が終わった時、3人の奇妙な関係もあっさり終わった。ミカエラはナティビダに当たり散らし、部屋に閉じこもってしまう。そこへ、彼女を連れ戻しにに来たレオナルドが現れ、ベンハミンと往来で殴り合いの喧嘩になる。その騒ぎの中、ナティビダは店の金を掴んで1人で村を出た。レオナルドをノックアウトしたベンハミンは一挙に名誉を回復し、満足そうだった。

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