「馴染み深き名作」ベン・ハー(1959) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
馴染み深き名作
わざわざ説明する必要もナシ。
ハリウッド史劇スペクタクルの代名詞の一つで、アカデミー賞最多11部門受賞作。
旧友の裏切りで奴隷となった男の復讐を描いた、「グラディエーター」の原点。
個人的にこの作品には愛着ある理由が二つある。
まず一つは、中学生時代に授業で見た事があるから。
中学生の頃なんてまだ大して洋画など見ておらず、それこそゴジラやドラえもんやドラゴンボールの映画を楽しんでいた。
そんな時に「ベン・ハー」だなんて今思うと敷居が高いような気もするが、これがなかなか抵抗なく見れた。
軍艦同士がぶつかり、船底で奴隷たちが血まみれになるシーンなんてドキリとしたし、本作最大の見せ場、闘技場での戦車競争シーンはハラハラドキドキ。この戦車競争シーンは今見ても全く褪せる事無く、「七人の侍」の雨の中のクライマックス合戦シーン同様、二度と真似出来ない名シーン。
なので、今でもハリウッド往年の名作と言うと本作が真っ先に思い浮かぶ。
以来何度か見ているが、今回実に久々に鑑賞。10年振りくらい?以上?
改めて感じたのは、こんなに宗教色が濃かったかなと。ベン・ハーの波乱万丈の人生と共にキリストの生涯も並行して描かれ、常に信仰心がある。
別にそれが悪いという訳でもなく、実は愛着ある理由の二つ目である。
昔通っていた幼稚園に教会があり、キリストの物語を習っていた事がある。
ここで断っておきたいのは、だからといって自分はクリスチャンなどではなく、単に馴染みがあるという理由だけである。馬小屋で生まれ、磔にされた後に復活したのを物語の一つとして面白く聞いていた。
さて、この宗教色の濃さは人によって好き嫌いが分かれる所だが、これが本作最大のテーマ。
憎悪や復讐などの淀んだ心が清められる。
信じる者は救われる。
奇跡。
赦し。
慈愛。
ベン・ハーが砂漠で喉を涸らしてた時、キリストが水を与えるシーンは個人的に最も好きなシーン。
3時間半の長尺で語るに相応しい一大巨編。
名作はいつ見ても見応えある。
一度でいいから劇場大スクリーンで見てみたい!