「アカデミー賞11部門獲得の映画史に残る傑作だそうです」ベン・ハー(1959) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
アカデミー賞11部門獲得の映画史に残る傑作だそうです
総合50点 ( ストーリー:30点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )
言わずと知れたアカデミー賞史上最多11部門に輝く映画史に残る大傑作なんだそうです。これだけキリスト教の素晴らしさについて描いているのに、アメリカだけでなく不思議なことに日本でも高く評価されているようだ。
だが私は好きではない。若いころに見てつまらなかったと思ったが、それからずいぶんと時がたって見直してみてもやはり好きにれなかった。
何かと宗教が絡んできて物語の底流にはキリスト教の教えがつきまとう。19世紀のアメリカ文学が原作だが敬虔深い人によって書かれたのだろう。苦難に直面するベンハーが生き延びるのも神の意志のようだし、疫病の家族は元気そうに生きているし特に見た目がむごいこともなく、結末のお目出度さにいたってはまるで聖書でも読んでいるかのようで呆れ返った。キリスト教徒の少ない日本でもこれが高い評価を得ているというのが意外である。
無罪なのに罪を問われるという物語の構成は中盤までは「岩窟王」と似たようなものだが、3年間もガレー船の地下で過ごした辛酸などもあまりにあっさりと描かれていて、苦労の様子や心に燃え滾る復讐心や執念も伝わってこない。奇跡が起きて問題が解決するのならば人間は苦労などする必要がないし、敬虔深さからは程遠い私はこんな安直な物語は嫌いである。超自然な力で人々が救われるのではなくて、人間としての生き様を最後まで見せてほしいものだ。
古い映画だからすべて実写なのはいいのだが、セットは作り物感があるものもある。馬車競技やたくさんの人々が登場する場面などに観るべき点もあるが、映像だけならば他にもすごいものはある。映像に引き付けられるというほどでもなかった。