「近現代韓国史を深く知るには良い作品」ペパーミント・キャンディー yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
近現代韓国史を深く知るには良い作品
今年424本目(合計1,074本目/今月(2023年12月度)25本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
本作品も見たくて、日替わりで復刻上映されているミニシアターまで行ってきました。
1999年だったか2000年だったかを「出発点」として、主人公視線で時代が「逆戻り」していく中で、現代(韓国史(1948~))の陽の部分と陰の部分とに視線があたります。
映画の趣旨としてどうしても、「当時の作品」であるために、1980年のパートの事件が何であるかは明記されませんが、描写から見て明らかに「光州事件」です。韓国映画は日本でも人気ですが、1948年以降の韓国の一部の歴史について「あえて触れない」フシがあるのは2023年「現在」においてもそうで(実際、2023年の映画でも光州事件を想定できるが「フィクションのお話です」と出ていた等)、この点いわば、「スープとイデオロギー」のように「日本に住む当事者からの立場」から描かれることが多いです(ただし後述)。
ただこの点、映画の作成時期を考えると、当時の韓国では完全な表現の自由は報道されていなかったのは事実で、それもそれで仕方がない、と思えます。そうした「韓国の特殊な事情」まで考えると本映画は精一杯の努力をしたといえ、減点なしの扱いにしています。
なお、映画そのものがフィクションのお話ですが(光州事件が想定できる描写もあくまでも何も固有名詞等出てこない)、1948年の韓国の成立以降の韓国の主要なクーデターほか色々なことを知っていると理解度がかなりあがります。
採点に関してはそうした点が気になるものの光州事件を固有名詞をもって描けなかった点に関しては仕方がないと思うし減点なしの扱いです。
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(参考/減点なし/韓国(大韓民国)の成立とそのあとのできごと)
韓国成立は1948年8月15日です。これと同じくして済州島4.3事件がおきましたが、「事件の勃発時点では」アメリカ対共産主義の戦いで韓国軍は関与していません(途中から関与するようになります)。少なくとも「最初から関与している」と考えるのは誤りです(最近何かと韓国に対するヘイトが大きいものの、歴史は歴史として正しく認識する必要がある)。
一方、同じく迫害事件として1948年10月19日の「麗水・順天事件」は明確に韓国軍のみの関与です(アメリカは関与していない)。この2つの事件はどちらも、命からがら日本に逃れる人が出てくるようになった事件ですが、「かかわった勢力が異なる」という明確な違いがあるので注意が必要です。
なお、朝鮮戦争以降から現在(2023年以降)に関しては、特段の事情がない限り韓国としての意思決定になります(朝鮮戦争勃発時~休戦協定まで一時期韓国のコントロールがきかず、アメリカがかかわっていたものは除く)。換言すれば「何でも韓国のせいにすればよいのではない」ので注意が必要です(特に済州島4.3事件に関しては「韓国軍は途中からかかわった」のであり、4.3の時点で韓国という国が存在していない点に注意です。