「Decade×2」ペパーミント・キャンディー いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
Decade×2
約20年前に日韓合作によって制作された作品である。一人の男の数奇な運命をまるで走馬燈の逆回しのように、過去に過去に遡っていく逆時系列的構成である。とはいえ映像を逆回ししてるのではなくて、重要な時期を7つのエピソードに区切り、そのエピソードのきっかけを、その前に遡るという具合に、どんどん理由が明らかになるという流れで惹き込まれる作りである。
勿論、時代背景や抗えない立場みたいなものが側面として影響していることは否めないが、本人の気質を含めての運命に翻弄されてしまった情けない男の顛末なのだが、そんな男の最後の願望である、『帰りたい』という願いは果たして叶ったのか、ラストシーンの男の涙は何も語らずエンディングを迎える。それぞれのエピソードを繋ぐブリッジカットを線路を走行する逆回しにより、まるでタイムマシーンに乗っているような、哀しさ切なさを帯びながら、次のエピソードはどんな辛い過去を見せつけられるのだろうかと憂鬱になりながらも、しかしその男の過去を直視しなければという使命感みたいなものも又一緒に沸々と湧き出る。多分それは、この男の罪と罰の原因を追及したいという、自分に置き換えた代替的対象として観ているのであろう。今の自分は何でこうなってしまったのか、どこで間違ってしまったのか、そのヒントを欲する意味合いで占められていた。勿論、その答えは出ないのだが・・・
当たり前だが、主人公と同じ凶行を経験したことはないし、それによってあれだけの逆ベクトルに振れた人生でもない。しかし疑似ではあるが小さい罪を重ね、そしてその細かい罰を受け、償い購いながら、いつまでも消えない手の臭いに苛まれ続けて朽ちていく人生であることは決して作品のように逃げることが出来ない。そう思う人達へのレクイエム的テーマなのかと思うが、どうか・・・。