ヘカテのレビュー・感想・評価
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外人部隊、モロッコ、カサブランカを足して3で割ってZEROを掛けた様な映画
成人映画だと思う。
去年、新宿で見たような気がする。だから、今回二度目だがよく覚えていない。二回目の鑑賞でその理由が分かった。
大半を寝ていたと思う。
『売春は許さん』『どんな?』
『奇妙な寒気を感じた。英語で誰かが私の墓の上を歩いた』
さて、この女性も売春婦なのだが、多分映画はその不条理を描いているのだと思う。
異邦人、外人部隊、モロッコ、カサブランカ等諸々の要素を利用して、宗主国になりそこねたフランスの憂鬱を描いている。1942年と言えば、フランス共和国は存在せず、ナチス・ドイツと傀儡政権が握っていた。つまり、一般のフランス国民はナチス・ドイツが嫌いなのでなく、イギリスにもドイツにも遅れを取るフランスに嫌気が指しているのである。この領事館職員はフランス人。原作はフランスなのだから。スイスが関係していれば、永世中立国、故に更に難しい立場のハズ。さて。
この男は何故ナーバスなのか?つまり、彼女の正体を知りたい事もさることながら、白人の女性が恋しいだけなのだ。つまりホームシック。女性はフランスへ変えれば、男に捨てられる事はわかっている。よく見れば分かるが、女性も男性も外見も中身も魅力の在る者達には見えない。
副の主題として、女性の売春に対する不合理を描いているのかもしれないが、フランス本国に今現在でも売春防止法なるものは存在しない。ドイツ、ベルギーなども同じである。女性の権利向上を願うなら、先ずは売春、回春、斡旋を含めて根絶すべきだ。
日本には売春防止法はあるが、現状はどうなのだろう。
さて、
1942年にベルリンにいる事の出来るフランス領事館主とはペタン元帥の手下。故に彼はファシストと言う事になる。映画の中にもベタンが出てきたような気がする。
『アルジェの戦い』の様な映画をフランス人は撮れないのだろうか?
ストール
原作はポール・モランの「ヘカテとその犬たち」(1954)
戦間期に国際管理地域だったタンジール(モロッコ)の
フランス領事館に赴任したロシェル(ジロドー)は
夜に咲く花のようなクロチルド(ハットン)に溺れてゆく
アフリカ北西部に位置する国々はアラビア語で〈マグレブ〉と呼ばれ
日が没するところの意
モロッコはその中でも最も西の果てにある国で
クロチルドの魔女や夜の女王、ヘカテというイメージにつながる
またムスリムの日没時の礼拝をさすらしく
夜の彼女にひれ伏す男の姿に重なるような
子供と親密な彼女を道徳的にゆるい彼でも
理性ではさすがに否定したようなのに
嫉妬にかられ、少年を暴行してしまう
領事館勤務の男が激情で、たがが外れてしまった瞬間で
教会やイギリス領事館に通報され、フランス本国からは左遷される
迷路のような市街地で見せられた子供たちは
東と西の交わった美しい顔をしていた
原作者はいわゆるフランスの上級国民で
外交官職を歴任し、広く旅行もしている
ヴィシー政権とナチスの協力者で
映画では上流階級の特権を享受するロシェルの姿に重ねているようだった
シベリアでは「フランスの二枚舌は続かないぞ」とか
「同じ犬に墓は暴かれる」とか言われている
第二次世界大戦中の1942年、ベルンで再会した時
ロシェルのクロチルドへの情熱は失せていた
異国で輝いて見えた女だったのか
フランスもタンジールに手が回らなくなる
原作者がイマジネーションを膨らませる作家であることも
上手く語られているような気がしました
ローレン・ハットンのストールのあしらいや
ガウンの着崩し方なんかが、やっぱり格好よかったです
普通の女ではああはいきません
かってに不倫していれば・・
元祖スーパーモデルで女優のローレン・ハットン(出演時39歳)が簡単に男に身を任せるくせに本心が読めない謎の女(クロチルド)を演じています、ヘカテはギリシャ神話の魔女のこと。
第二次大戦が勃発しようとナチスが台頭している血なまぐさい時期にアフリカのフランス領事館に赴任した外交官ロシェルがパーティで知り合った人妻クロチルドに職務そこのけでご執心、何が不満なのか分からないが思い通りにならないクロチルドに勝手に振り回される様を延々と描きます。不心得な外交官の不倫騒動など興味も湧かず、ヌードシーンも辞さないローレン・ハットンは熱演なのでしょうがただのおばさんにしか見えず、退屈な時間が流れるだけでした・・。
巷の評判は信用ならないの典型ですな。
巷では伝説的名作ということらしいが、主演の二人には殆ど魅力を感じることも無く「本当に名作かぁ?」という懐疑心もあり、特に期待もしてなかったのだが、映像美の方は何か良いものありそうだったので観てみた次第。
オープニングの晩餐シーンの流麗な流れからタイトルがアップされ、場面が一転して、真っ赤な救命浮き輪のクローズアップ(明らかに色欲に溺れる暗示)が映し出され、ディオールの白いスーツで主人公が現れるという、この一連の流れは意外に予想以上で「何気に傑作なのか?」と少し期待してしまったのだが…
結果としてはホントどうでもいい陳腐なメロドラマであった。
ただ、それはあくまでストーリー展開の方であって、予想通り冒頭からの映像は本当に素晴らしく名手レナート・ベルタの流麗なカメラワークは、まさに一流の職人技。どれも構図が素晴らしかった。ラウール・ヒメネスが担当した美術の方も本当に素晴らしく、画面に現れてくる見事な配色のアレンジが、これまた一流の職人技だった。
そしてカルロス・ダレッシオの音楽の方も、これまた素晴らしく良かった。
蓮實重彦が絶賛していたシーンも間違いなく名シーンで、白い壁に二人の美しいブルーの影が浮かび上がり、その直後に女のショールがバサっと階段に落ちて… そのまま情事に耽る男と女…
確かにあれを見るだけでも、この映画を観る価値があるとは言える。
し・か・し・だ!あまりにストーリーが陳腐すぎる。
あれなら20分くらいの短編にした方が、よっぽど良かった。
甘やかされ育てられたであろう良いトコの坊ちゃん風のダメダメな外交官が辺鄙な国に左遷させられ、女に対する未熟さゆえ、ただただ振り回される話なんか、ホントどうでもいい。
破滅型というほど奈落の底に堕ちていくような凄みがある訳でも無く、女の方もファムファタールというほどの魅力ある訳でも無く、演じたローレン・ハットンそのまんま、モデル崩れの「それ風」を演じている女にしか見えない。
「モロッコ」のオマージュもあったかと思うが、ファムファタール演じるなら、やはり、デートリッヒくらいの謎めいた雰囲気はないと。
ローレン・ハットンだとチョットどころか、だいぶ卑近な感じになってしまう。
ひょっとしたら、シュミットは、あえて捻くれた皮肉を込めて、卑近なイメージのファムファタールに、ストーリーの方も、あえて陳腐なメロドラマにしたのかもしれないが、もし実際そうなら、それこそホントどーでもいい企てだ。
そして、ローレン・ハットンといえば、インタビューでも、大のセックス好きを公言しているのだから(良くも悪くも、いかにもそんな顔だ)、絡みのシーンは全て本番で撮影すべきだったのだ。殆ど喘ぎ声さえ出さない不感症のような女の本性を知りたくて夢中になる設定より、やっぱり派手にスケべにヨガる肉食系の女に翻弄されてしまう方が「ヘカテ」のイメージにも合う。シュミットの趣味とは(ダジャレじゃないよ)合わないかもしれないが…
ともかくあの女では、ヘカテーいうほどの凄みが無い。
あと、オマージュといえば、あの少年がレイプされるシーン、あれは「アラビアのロレンス」のオマージュだろうが…
配給会社も映画館の方も、あの名作の(と一応は言われている)「アラビアのロレンス」でOKなら問題ないっしょ!と思ったかもしれないが、ああいうのは予めアナウンスは必要だろ。見たくないヤツは見たくないのだ!ということは、つくづく良〜く理解して欲しいところだ。
とまあ、色んな意味でダメダメな部分を含んだ映画だったが、あえてダメな映画を観たいという方、特に画面や音楽の方はバッチリ素晴らしいのに、ストーリーがダメダメな映画を観たいという奇特な方には、間違いなくオススメの一本だ。
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