「幸せの一つの形の提示」ペーパー・ムーン eichanさんの映画レビュー(感想・評価)
幸せの一つの形の提示
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午前十時の映画祭のチラシの「ケチな詐欺師とおマセな女の子が織りなす笑いと涙のロード・ムービー」という紹介文と、当時女の子役のテイタム・オニールが史上最年少でアカデミー助演女優賞を受賞し、未だにその記録が破られていないというミニ情報を得て、映画館に鑑賞に行った。やはり信頼に足る情報は欠かせないものだと思った。期待以上に楽しめて、大いに感動した。終始ストーリーがどう展開するのかハラハラドキドキの連続だった。少女役のテイタム・オニールの演技は見事だった。詐欺師と少女は親子かもしれないという設定になっているが、詐欺師役のライアン・オニールと少女役のテイタム・オニールは実際に実の親子である。だからお互いがあれほどに息の合った演技が出来たのかもしれない。ストーリーは少女アディの目線を通して進む。初めは反目していたのに、少女アディは詐欺師のモーゼに実の父親像を重ねていたのか?それとも思春期特有の淡い初恋を寄せていたのか?自らは9才であるのに、モーゼの前で思いっきり背伸びをして大人の女性であるようにアピールしてみせ、モーゼの恋路を邪魔したりする。その姿は愛嬌があり滑稽でもあるが、一方で切なくもある。そんなアディに尻の軽いダンサーのセクシーなトリクシーは「骨格がしっかりして女性らしい体つきになるのは17歳からよ」と言い含めたりする。とにかくアディがモーゼを好きであることは間違いない。アディはその機転で旅中何度もモーゼの危機を救っている。ラストでは伯母の家で裕福で安定した生活を用意されるのに、アディは好きな人モーゼとの気ままで楽しい放浪生活の方を選ぶ。幸せの一つの形を我々は提示されて、映画は終わる。
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