「“カムバック”ではなく、“愛している、さようなら”だったが…」ペイルライダー KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
“カムバック”ではなく、“愛している、さようなら”だったが…
まだまだ巨匠と言われる前の
クリント・イーストウッド監督作品だが、
ミロス・フォアマン、ベルイマン、
ビクトル・エリセ、ヴィム・ヴェンダース
ら、そうそうたる名監督の映画が
キネマ旬報ベストテン入りした年、
第13位という評価だったものの、
第1位に推した選考委員が2名、第2位が3名
と、一部には強く支持された映画だった
ようなのでTV放映を機に鑑賞。
ネットの紹介では、あの名作「シェーン」に
似た設定とのことなので、
その比較の意味でも興味が湧いた。
さて、“ペイルライダー”の意味は
聖書からの“死の騎士”とのこと。
それが関連してか、
主人公は牧師との設定のようだが、
彼は本当に牧師なのか、そうではないのか、
また、彼が牧師だとしても、
何故拳銃使いでもあるのか、また、
保安官との因縁も何も語られないままで、
全体的には理屈抜きに模式化されたような
西部開拓時代的ストーリー展開で、
威圧が社会を支配する「許されざる者」の
原点とも思えるような作風も、
聖書から引用のためか、
主人公の神聖化が超人化に繋がり、
逆に作品の凡庸さを招いたように感じた。
そして、
金採掘仲間が銃殺される場面も含め、やはり
「シェーン」へのオマージュが満載との
印象だったが、
ラストシーンでの、
“シェーン、カムバック!”は、
主人公に恋心を抱く少女だったからか、
“愛している、さようなら”だった。
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