劇場公開日 1995年10月14日

「キャリアの頂点」ブレイブハート うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5キャリアの頂点

2023年10月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

歴史を紐解き、民族の感情を高ぶらせる。貴族階級の圧政に立ち向かった一人の男の生涯を力強く描き出す、感動巨編。興行的にも成功し、監督として作品性を高く評価された、メル・ギブソンのキャリアの頂点に位置する映画だ。

当時同じような立ち位置にケビン・コスナーがいたことから、本人の才能はもとより、彼の名前を使ったビジネスとして、優秀な人材が沢山まわりに居たということなのだろう。

その後のメル・ギブソン監督作品にも通底するのは、伝説的な英雄を取り扱ったおとぎ話が多いということで、史実に忠実かどうかということより、観客に伝えることを優先したエモーショナルな演出を得意とすることだろう。

それにしても、ゴシップによって身を持ち崩していった晩年は、まるで彼自身が映画の主人公であるかのようにも映る。これも、彼のチームをひとり、またひとりと優秀な人材が去って行ったことを暗示する。ケビン・コスナーも同じように持ち崩した。

苦み走った老人の役が板に付いて来たのも、さもありなん。でも、もう一度、あの軽快なユーモアと過剰なアクション、それでいて説得力を失わない一瞬の凄味を見せてほしいものだ。

うそつきカモメ