袋小路のレビュー・感想・評価
全5件を表示
旦那に隠れて若い男とイチャイチャしていて、ギャングにもちょっかい出し、夫にギャングを殺させた挙句、夫を捨てお城の邸宅を出て行くヒロイン
ロマン・ポランスキー監督による1966年公開の英国映画。
主人公夫婦をさんざん脅かしていたギャングが、夫婦の友人が来たために急に使用人演技をする展開は。どこかで見た様な気もするが、何とも興味深い。
若い妻役をカトリーヌ・ドヌーブの姉が演じているが、旦那に隠れて若い男とイチャイチャしていて、ギャングにもちょっかい出し、ついには夫にギャングを殺させた挙句、夫を捨てお城の邸宅を出て行く。ヌーベルバーグの影響なのだろうか、なかなかぶっ飛んでいるヒロイン像だ。
ギャングが裸体ちらつかせるが、意外に真面目で、ヒロインに手を出さないのが、面白い。だからこそ、妻は夫に襲われかけたと言ったのか。
脚本はジェラール・ブラッシュ(反撥)、ロマン・ポランスキー、
撮影はギル・テイラー、音楽はクシシュトク・コメダ。
出演は、ドナルド・プレザンス(大脱走等)、フランソワーズ・ドルレアック(カトリーヌ・ドヌーブの姉)、ライオネル・スタンダー(宝島等)。
ベルリン映画祭の審査員は何を評価したのか?
ポランスキー監督は第一作目の
「水の中のナイフ」の主人公たちに比べて、
次作の「反撥」やこの「袋小路」で、
どうして異常人格的人物を主人公に
選び始めたのだろうか。
「反撥」に引き続き、
この作品でも、説明もなく、
いきなりの異常人格者の登場だ。
犯罪者は、夫婦が自分への反撃や逮捕に
繋がるかも知れない動きに全く無頓着。
夫は、幾らでもある犯罪者への
反撃のチャンスを選ぶ素振りさえない。
若妻は、怖い素振りも見せず、
何故が馴れ馴れしく犯罪者に近づく。
3人全てが異常だ。
あるいは、これはコメディ?
ポランスキーにコメディの才能が無いのは
「吸血鬼」で証明済だが。
笑えないコメディではないのなら、
3人の異常性について、
他の描写を省いてでも、
その原因を描かないと話に説得力がない。
ベルリン映画祭では、
「反撥」が銀熊賞、「袋小路」が金熊賞、
と高い評価を受けているが、
少なくともこれらの作品が
「ローズマリーの赤ちゃん」や
「戦場のピアニスト」を上廻ると
評価する向きは少ないのではないだろうか。
この映画祭が、
カンヌやベネチアに比べて影が薄いのは、
審査の観点が2つの映画祭に比較して、
少し偏向し過ぎているためではないかと
勝手に想像するのだが。
薄情な女
状況次第で臨機応変な振る舞いを、男に擦り寄る娼婦のような奥さんは、子供にまでまんまツッ込まれる。
サスペンス要素は皆無なコメディ路線まっしぐらで、人間の心理描写はグラグラに緊張感の欠片もない。
初期のロマン・ポランスキーの三作品を通して、女性に対する描き方が偏っているような、彼が犯した事件に納得してしまう変態さが滲み出ている雰囲気がプンプンする!?
カニ
序盤がとにかく引き込まれる映像。島の海岸近く、故障した車を押す男リチャード(スタンザー)。腕は怪我しているようで、車の中にはもう一人のメガネの男。そしてリチャードはへとへとになり、民家に食べ物を求めるのだ。カニがなぜか印象的。
古城のような家には若い妻とスキンヘッドのプレザンス。しかも変態チックに幼児プレイをしているのだ。そこで勝手に電話を借りていたリチャードと遭遇する。強盗がたまたまやってきたというシチュエーション。 白黒のため風光明媚な舞台も冷たい印象がある。そして鶏小屋。カラーで映すと違った印象になるのだろうけど・・・
心理描写が面白く、『水の中のナイフ』とは違い、主人のプレザンスが弱々しいところがいい。相棒の男が死んで、穴を掘るところ。妻の客人がやってきてしまい、リチャードが執事の振りをさせられるとか、3人の心理的優劣が変化する。
全5件を表示