劇場公開日 2022年8月19日

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「会いたいとさえ思えば、いつでもどこでも会うことができる」ブエノスアイレス ケロケロケロッピさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0会いたいとさえ思えば、いつでもどこでも会うことができる

2023年9月9日
iPhoneアプリから投稿

王家衛とトニーレオンの相性は最高やし、王家衛とレスリーチャンの相性もまた最高なので、この映画は本当に好き。奇跡の一本。

大昔に一度観たときに終わり方がよくわからなくて、久しぶりに観直したが、やっぱりよくわからない。ただ「会いたいとさえ思えば、いつでもどこでも会うことができる」という台詞が本当に好き。孤独を感じない術を得たファイは強いし、きっと未来は明るい。対してウィンの未来は…

王家衛の映画は、気怠い雰囲気でダラダラ進む中でのちょっとした瞬間の演出が細かいので、ちゃんと集中してないと見逃しがち。モノクロからカラーに切り替わるタイミングが2人がまた一緒になった時だったり、寝顔を見つめてるつもりが見つめられていたり。
まるで人生そのものみたいに、かけがえのない瞬間がふいに訪れるので、一つ一つのシーンが愛おしくなる。

レスリーチャンの、女豹みたいに挑発してきたかと思えば子猫みたいにじゃれついてくる魔性の男っぷりがたまらないわ。こんなん、トニーレオンじゃなくてもパスポート隠すわ。
ウィンはファイのこと利用してるように見えて実は心の支えにしているし、ファイはウィンを手放したくないように見えて意外とすぐ切り替えられる。一緒にいると幸せだけれど、どうしてもすれ違ってしまうのが悲しい。2人が一緒にいる瞬間の幸せは、現実にしてしまうとうまくいかなくなる。会いたくなったときに相手のことを思い出して、一緒にいた頃の幸せを思い出すが正解なのかも。

ケロケロケロッピ