「LGBTQを越えて」ブエノスアイレス shantiさんの映画レビュー(感想・評価)
LGBTQを越えて
美しい恋愛の映画だ。男女の恋愛よりも遥かに重くのし掛かり、嫉妬も激しく、その思い入れは同性なだけに虚しさと悲しみは深い。愛情と愛憎と情熱がその恋愛の全てであり、男女間に於ける「子供」という目的キーワードが欠落する狂おしいばかりの恋愛。三島由紀夫は、「男色はどこまでたっても平行線上を辿り、果てがない」ようなニュアンスのことを作品で吐露していた。この作品を鑑賞して、得心がいった。イグアスの滝にも劣らぬほどの激しい恋とその痛み。映像に刻み付けたウォン・カーウェイの手腕は素晴らしい。彼の作品では最高傑作だと私は思う。特にキッチンで抱き合って踊るシーンはとても美しく、心を打たれる。
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