「【”何度もの、やり直そう。”会いたければ会える・・。”香港の地球の裏側のブエノスアイレスを舞台にした、ヒューマン・ラブストーリー。喪失感から再生して行く男を描いた物語でもある。】」ブエノスアイレス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”何度もの、やり直そう。”会いたければ会える・・。”香港の地球の裏側のブエノスアイレスを舞台にした、ヒューマン・ラブストーリー。喪失感から再生して行く男を描いた物語でもある。】
■旅の途中で知りあったウィン(レスリー・チャン)とファイ(トニー・レオン)。
幾度となく些細な事で、別れを繰り返し、やり直すためイグアス滝へ向かうも、ささいな争いから再び別れてしまう。
その後ファイはブエノスアイレスへ。
バーでドアマンとして働いていたある日、傷だらけのウィンが彼の部屋に現れ…。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・ウォン・カーウァイ監督が全幅の信頼を寄せる、クリストファー・ドイルの手持ちカメラによる室内の雑然としながらも、どこか美意識を感じさせる小物の映し方。
・又、ドイルお得意の夜間の車のライトが川の流れの様に映し出されるシーンや、地下鉄の映し方も、印象的である。
・ウォン・カーウァイ監督が拘る、劇中に流れる哀し気な旋律のタンゴもウィンとファイの哀しみを暗喩しているようで、効果的である。
・冒頭のウィンとファイが激しく抱き合うシーンから、一転、二人がイグアスの滝を目指すも、道迷いし、再び喧嘩別れ。
ー その後、アルバイトで金を貯めたファイが、一人イグアスの滝を訪れた時の彼の心の声。
”ウィンが居ないので、寂しい・・。”-
・ファイが、バイト先で知り合った青年チャンに”君の声は、幸せではないね。”と言われ、悩みをカセットテープに吹き込むシーンで、ファイの流した涙。
ー そして、チャンは南米最先端の岬で、ファイの悩みを捨てる・・。-
<ファイが、香港に戻り、どこかホッとした表情で、チャンの両親が経営する屋台で食事をしながら見つけたチャンの写真。彼は、その一枚をそっと盗み、”もし会おうと思えば、何処でだって会える。”と心の中で呟く。
今作は、喪失から、再生の物語を、ウォン・カーウァイ監督お得意の手法を、ふんだんに混ぜ込んで描いた作品である。>