「台湾とアルゼンチンを舞台にした愛の物語」ブエノスアイレス SpicaMさんの映画レビュー(感想・評価)
台湾とアルゼンチンを舞台にした愛の物語
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台湾大学に初めてのゲイサークルが1993年に、翌1994年にレズサークルが設立された。この映画が製作された1997年は中国本土で初めて同性愛が非犯罪化された年だ。台湾ではまだまだ同性愛への風当たりは強かったらしい。映画の主要な舞台となる地球の裏側にあたるアルゼンチンでは、1886年に既に非犯罪化されており、映画の中でも男娼が多い様子が描写されている。
同性同士であっても異性間の恋愛と変わらない。描写されるのは、小悪魔のように魅力的なクズ男。悪事をして祖国から逃げるように遠い異国に来たが人寂しく、クズ男と別れたりヨリを戻したりの辛い思いをする主人公。自由に旅を楽しむ若い友人の登場で主人公はようやく1人で祖国に戻る。過去を精算するのだ。かすかに明るいエンディングでよかった。
ターコイズブルー、エメラルドグリーン、バーミリオンレッド、マンダリンオレンジ等のアジアンカラーが浮き立つノスタルジックな映像とBGMはタンゴ。回想部分はモノクロ。
主演二人はこの映画に出るのはとても勇気が要っただろう。カーアイ監督の脚本なしで現場でメモを見せて即興で撮るやり方は、特にこの内容では、彼らの力量なしでは成立しなかったと思う。熱演に拍手を送りたい。
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