ブーベの恋人のレビュー・感想・評価
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恋から愛に変わる女性の健気さが胸を打つ恋愛映画の時代が生んだ特殊性
第二次世界大戦の荒波に翻弄されるパルチザン活動家ブーベを愛するマーラの女心に焦点をあて描いた恋愛映画の佳作。一度は諦め掛ける裁判の行方を期に愛に立ち向かうマーラの、前半と後半の変貌を鮮やかに演じたクラウディア・カルデナーレの美しさと表情の演技が素晴らしい。ふたりが裁判所の廊下で対面する場面でブーベを叱咤激励するマーラは、すでに母性愛を含む女の情愛に変化している。ラストシーンで、時代が許すなら本来結ばれていたであろう青年に呟くマーラの言葉に、女性だけにある人間の強さが表れている。
カルロ・ルスティケッリの悲哀を帯びたテーマ曲がマーラの実直さを表現していて、こころに沁みいる名曲。ルイジ・コメンチーニ監督は多才ゆえの作風が固定しない欠点があるが、この作品では特に後半のデート場面の演出は揺れ動くマーラの心理を映像として巧みに描く。
中学時代の忘れられない衝撃の、自分にとって唯一無二の大切な恋愛映画。
うんめいのひと…
初恋と、側にいて自分を大切にしてくれる人。どちらを選ぶのか。
そして最終的に選んだのは…。
同じ「運命の人」でも、成長するにつれてその意味づけが変わる。
現代にも通じる物語。
そこに、現代史が絡む。ファシズムってムッソリーニのこと?微妙に『山猫』でも聞いた名前が出てきて…。
「何百人も戦争で殺せば英雄」ってよく聞く話だけれど、
終戦後の司法は、そんな慣習を断ち切り、私的なリンチを抑え込みたかったのか?でも映画ではそこは深く突っ込まない。
マーラ。映画の終盤に語られる年齢から逆算すると、裁判の頃は20歳の設定。ブーベと出会った頃は、今なら高校生くらいの年齢か。
言動・振舞い・行動基準。いるいるこんなJK。
10代から20代後半までの演じ分けが見事。
10代の野良猫かと思うような生命力から、年を経るごとにしっとりとしてくる。
あと、裁判前後の映像が凝っている。ここだけ特殊なので、きっと何か意味があるのだろうと思うが、私にはわからない。こういう時、淀川さんとか水野さんの解説ってすごかったんだなと懐かしい。
マーラはブーベの恋人
第二次世界大戦も終戦を迎え、イタリアにも連合軍がやってくる。
抵抗組織のパルチザンも山を下りてくる。
街の娘マーラ(クラウディア・カルディナーレ)はパルチザンのブーベ(ジョージ・チャキリス)と恋に落ちる。
しかし、ブーベはファシストの挑発に乗り、殺人を犯してしまい国外に逃亡する。
残されたマーラは働き始め、とても優しいステファノ(マルク・ミシェル)と知り合う。
登場する三人それぞれにテーマ曲があり、やはりブーベのテーマが最高に切ない。
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