「比類なき奇想」ファンタスティック・プラネット よしえさんの映画レビュー(感想・評価)
比類なき奇想
スクリーンに映像が流れ始めて最初の感想が「めっちゃヌルヌル動く!」だった。これにプログレっぽいBGMが乗ることで、「なにか違う、見たことのない映像だ」という期待感が加速していく。
画面に青い巨人ドラーグ族の奇怪な生態や異様な風景、奇妙な生物が映し出される度に、期待が確信に変わっていく。シュールではあるが、確固たる世界観に裏打ちされた奇妙さを持っている。それは例えば、方向性は違えど、杉浦茂やタイガー立石などの美術に通じる、天性の「へんてこりん」さだ。
物語はドラーグ族によるオム族支配から、オム族が知性を得て独立を目指し対立し、旅立つところまで描かれる。実はこれが天地創造神話であることが最後に明かされる。ただし物語部分も重要ではあるのだが、やはり肝要なのはディテール部分である。挿話として描かれる奇妙な生物たちはもとより、ドラーグ族の瞑想の描写など、ぶっ飛んでいて大変に面白い。これが現代のスクリーンで見られるという至福。
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