「元祖ジャック・ライアン?」引き裂かれたカーテン odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
元祖ジャック・ライアン?
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カーテンというからサイコスリラーの名作「サイコ」の名シーンを連想して怖い映画かと思い込んでいたがジャック・ライアンもどきのスパイものだった。むしろ婚約者が巻き込まれる「エージェント:ライアン」の方が本作をインスパイアしたのだろう。
スパイものといっても主人公は学者だから派手なアクションは無い、と言うよりたった一人を始末するのに悪戦苦闘、リアルに人を殺すのがいかに大変なことかをつぶさに描写して見せる演出はさすがヒッチコックと感心した。
東西冷戦の最中、ミサイルの最高機密が頭の中の数式では蛇の道は蛇、学者エージェント登場の必然性をよく見つけました、感心したのは人物描写、それも女性の描き方、愛と信念の狭間で戸惑う主人公のフィアンセ、プライドを傷つけられ根にもつプリマドンナ、レジスタンスでも命がけの農婦や保健師の反面、錯乱するバスの女性など人それぞれ、奇妙な伯爵夫人などそのバリエーションの豊かさ、対比は素晴らしい。
「サウンド・オブ・ミュージック」の清楚なヒロインのイメージのジュリー・アンドリュースのいきなりのベッドシーンには当惑したが冒頭のラブラブ・シーンの役割は展開につれ氷解、主人公の真意は彼女も観客も知らないから一緒になって心が揺れる、設定だけで2時間を退屈させない脚本と演出、さすがヒッチコック監督作品と再認識した名作でした。
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