「Don't mean nothing.」ハンバーガー・ヒル せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
Don't mean nothing.
ベトナム戦争で10日間にわたって行われた超過酷な「アパッチ・スノー作戦」を描いた話。
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話としては、丘の上にある北ベトナム軍の陣地を何度もぬかぬかの丘を登って、陣取ろうとするだけ。でもその代わり、一人一人の兵士の描写はじっくり描いていて、ベトナム戦争自体は愚かな戦争だったとしてもそこで戦った一人一人を愛そうというメッセージがよく伝わる。
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特に、人種コンプレックスが人一倍強そうなドックが、最初部下に黒人の人が仲間内で愛称としてよく使う"Bro"(兄弟)と言われた時に激しく怒ったけれど、戦いを共に乗り越える中で自ら白人の人に"Bro"というシーンが印象的だった。
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基本、戦闘シーンは雨が降っていたり泥まみれでぐちゃぐちゃで誰が誰かが全然分かんなくて、最後の戦いなんてめっちゃ人が死んでるのはわかるけど誰が死んだかが不明。そして全てが終わったあとに生き残っている人が誰だか判明する。
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これは単純に日本人だから外国人の区別がつかないだけかもしれないけど、本当の戦場もぐちゃぐちゃでよく分からなくて終わってみて初めて周りの状況がわかるって同じだよねたぶん。
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一応、この戦いに勝ったけれど最後、勝利の匂いは全くなくて疲れ果てた兵士たちがベトナムの深い霧の中で呆然としている様子がなんとも言えないカタルシスを残して良い。
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