「クライムものの新境地では」パルプ・フィクション ターコイズさんの映画レビュー(感想・評価)
クライムものの新境地では
クリックして本文を読む
設定はよくあるクライムものなのだけど、ぶっ飛んでいて、奇妙で、それでいて練り上げられてるこの世界観がたまらない。一つ一つのエピソードからはオー・ヘンリーの短編のような運命の皮肉やいたずらを感じる。この無常な世界を嘆くでも淡々と描くでもなく、ハイスピードで駆け抜けるような、それでいて、個々のエピがこう交差してくるんだという心憎い構成がかなり好み。
ジュールズが見出した神の御業、ラッキーは、ヴィンセントには災いとなったんじゃないか。あの時ジュールズと行動を共にしていれば、アンラッキーな目にあうのはヴィンセントではなくてブッチだったのかもしれない。ヴィンセントの運命を左右するような出来事は繰り返しヴィンセントの長いトイレの最中に起きている。そういう人生の皮肉みたいなものの描き方が効果的だしうまいなと思う。
最初から最後まで音楽もかっこいいしキャスティングも心憎い。トラボルタにツイストを踊らせるなんて、ね。ラストシーンのシャツ姿の2人が醸し出す滑稽さ、カッコよさ、そして彼らの未来を思うと感じられるアイロニーに満ちた終わり方が、完璧。
コメントする