「「戦争劇画の実写版」としてみれば大丈夫」バルジ大作戦 Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
「戦争劇画の実写版」としてみれば大丈夫
1965(日本は1966)年公開、アメリカ映画。
【監督】:ケン・アナキン
【脚本】:フィリップ・ヨーダン、ミルトン・スパーリング、ジョン・メルソン
主な配役
【元刑事 カイリー中佐】:ヘンリー・フォンダ
【冷血軍人 ヘスラー大佐】:ロバート・ショウ
【グレイ少将】:ロバート・ライアン
【純愛戦車長 ガフィー軍曹】:テリー・サバラス
【俠気リーダー ウォレンスキー少佐】:チャールズ・ブロンソン
1.実際のバルジの戦いとの違い
バルジの戦い(独軍「ラインの守り」作戦)は、
ヒトラー発案による冬季大攻勢で、
独軍だけで50万人が動員された。
本作に描かれたような、
ヘスラー大佐のタイガー戦車旅団だけで、敵中に突撃するような小規模なものではない。
ヘスラー旅団長は、おそらく、ヨアヒム・パイパー親衛隊大佐をモデルにしている。
パイパーはドラム缶で爆死したりもせず、
戦後まで生き延びた。
◆燃料集積地を巡る戦い
◆マルメディの虐殺
◆マコーリフ准将の名言「Nuts」
など、一部の史実も織り交ぜてある。
だが、他の傑作戦争映画である『トラ・トラ・トラ』や『遠すぎた橋』などと比較すると、再現性はかなり低い。
実際には厳冬の戦場だったはずが、ロケ地がスペインだったこともあり、かなり残念な映像になってしまい、隠居していたアイゼンハワーが抗議声明を発表した。
2.監督にケン・アナキンを起用
『史上最大の作戦』でイギリス側監督を務めたケン・アナキンを監督に起用した。
元々は、ドキュメンタリー畑の製作者だ。
ドラマの埋め込み方は巧みだ。
◆元刑事の勘で独軍の反攻を予感する中佐と、情報部大佐の反目
◆戦争大好き戦車隊長と、長年の部下の訣別
◆戦場に咲く秘めやかな恋
◆使えないリーダーから脱皮していく中尉
人気ドラマ『コンバット』何週分かを一本の映画に詰め込んだ感じだ。
余談だが、アナキン・スカイウォーカーは、彼と親交のあったジョージ・ルーカスが直々に名前の使用許可を得たとするエピソードもある。
3.まとめ
intermission(劇中休憩)をはさむ167分の超大作なのに、大作感があるのは、戦車戦シーンくらいだ。
『パンツァーリート』が効果的に挿入され、
戦車万歳感はすごい。
しかし、肝心のタイガー、キングタイガー、パンサーなどドイツの戦車群は、すべてアメリカのパットン戦車が使われている。
第二次大戦ヨーロッパ戦線を舞台にした、
実写版・戦争劇画、
としてみれば大丈夫だ。
☆3.0