「無神論者であるということは現代の日本ではさして驚かれることはない。...」異邦人 柴左近さんの映画レビュー(感想・評価)
無神論者であるということは現代の日本ではさして驚かれることはない。...
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無神論者であるということは現代の日本ではさして驚かれることはない。寧ろ、熱心に信仰しているという人の方が、周りに引かれてしまうかもしれない。
しかし今作の舞台は、1940年代のフランス占領下のアルジェリア。当時のヨーロッパの世論では無神論者=異邦人という式が成り立つぐらい、神を信じないということは冒涜だと思われた。正義や倫理の指針である宗教を無意味だと言ってのける主人公ムルソーは、検察や陪審員から憎悪されるが、決して極悪人ではないのだ。彼なりに人生を歩み、彼なりに死を捉えたのだ。
流石貴族監督ヴィスコンティ。画が全てのシーン美しい。ギラギラと太陽が照りつけるアルジェの街。無機質な霊安室。光輝く海。暗い独房。
内容が日本人には難しいかもしれないが、映像だけでも観る価値あり。
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