「スペインは情熱の国って聞いてたけどレベルが違った。」ハモンハモン 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
スペインは情熱の国って聞いてたけどレベルが違った。
クリックして本文を読む
50代以上のためのノルタルジーエロスという売出しでリバイバル上映されたことにはちょっと微妙な気持ちがあるのだが、今はなき鬼才ビガス・ルナの傑作がまた映画館のスクリーンにかかる機会を得たことには心から感謝している。
思えば30年前の映画で、当時はアルモドバルとビガス・ルナがスペインのイカれた監督の二大巨頭として日本に入ってきていた。その後アルモドバルはすっかり巨匠になったが、ビガス・ルナの衝撃はアルモドバルに勝るとも劣らなかった。
ともかく男女6人がフェロモンを撒き散らし、愛欲に振り回され、こんがらがった痴情のもつれの果てに骨付きハムで殴り合うというわけのわからない話を、切実な勢いと爆笑モノのユーモアで描いていて、倫理的に正しいとか間違ってるとかはどうでもよくなり、一応悲劇なんだけどよくやった!やりきった!すごい!と拍手喝采したくなる。さすが情熱の国スペイン。いや、あくまでもこの映画から得たイメージですけど。
とにかくラストショットの絵としての決まりっぷりと、哲学すら感じさせる羊の群れとのコラボは、映画史上屈指の名シーンとして語り継がれるべき。
ただ一点だけ、当時のペネロペ・クルスが17歳だったと知って今見直すと、本人が「当時の自分はヌードシーンの準備ができていなかった」と振り返っていることもあり、もうこういう映画作りはしちゃいかんのではという気にはなる。まあ、ペネロペは出演したくて年齢を偽っていたらしいので、一方的な搾取って話でもなさそうなんですが。
コメントする