ハムレット(1947)のレビュー・感想・評価
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ハムレット初体験で、シェークスピア劇の深さに気づく
ローレンス・オリビエ主演・監督・製作による1947年製作(155分)のイギリス映画。
原題または英題:Hamlet、劇場公開日:1949年9月10日。
そういえば恥ずかしながら、今でも盛んに舞台上演される「ハムレット」の正確なストーリーを知らないし見たこともないということで、このアカデミー作品賞を得た本作品を視聴。
確かに数多くの物語の元ネタとなっているとの実感はもったが、この物語の何が多くの映画監督やローレンス・オリビエをはじめ名優と呼ばれる多くの俳優を強く惹きつけるのか、正直あまり良く分からなかった。ハムレットの苦悩・逡巡や恋人オフィーリアへの仕打ちは自分にはどうも共感できない。ただ、王である兄を毒殺し、彼の妻も娶った悪役クローディアス役に、役者魂が焚きつけらるのはかなり自分にも理解できたところ。
そして、このシェークスピアによる物語が、どこで生まれてきたのか、興味を覚えた。どうやら「デンマーク人の事績」(原題:Gesta Danorum、中世デンマークの正史で息子のAmlethは狂気を装って叔父に復讐、作者:サクソ・グラマティク、成立時期:12世紀末〜13世紀初頭)が元ネタで、亡くなった夫の妻との結婚は王権継承ということで、当時は普通にあったらしい。兄殺しによる王位継承も、欧州全体としては実際にあった様。
日本では、信長をはじめ弟殺しは有るけど、多分兄殺しの権力奪取は多分無いよな?と思って、念の為に確認してみた。何と、第21代天皇・雄略天皇(5世紀後半、倭五王の最後の一人「武」として中国南朝へ遣使を行い、広域的な支配権を確立)は、即位に際して二人の同母兄、甥、従兄弟二人を殺害した とか(古事記及び日本書紀)。
更に興味深いことに、雄略の前第20代安康天皇は家臣の讒言により叔父である大草香皇子殺害を命じ、彼の妻を自分の皇后とした。皇子の遺児である眉輪王は、母が皇后となったことで、父の仇である天皇の継子として育てられることになった。3年後、眉輪王は父の復讐として安康天皇の暗殺の実行に成功も、雄略天皇により逃亡先の有力氏族と共に焼き殺されたらしい(古事記及び日本書記)。
まさにハムレットと同様でビックリ。結局、権力をめぐる人間の性は世界共通ということなのか!
書いているうちに、シェークスピアがオフィーリアをセッティングした意図の片鱗が見えてきた。
映画には無かったと思うが、原作にはクローディアスのセリフ「poor Ophelia Divided from herself and her fair judgment, Without the which we are pictures, or mere beasts (哀れなオフィーリア 彼女は自分自身と、清らかな判断力とから引き裂かれてしまった。その判断力がなければ、私たちはただの絵に描いた存在か、獣にすぎないのだ)。」があり、壊れてしまった彼女の悲惨性が強調されている。
すなわち、それを引き起こしたハムレットに対して、観客が共感できない様に、あえて作られている。そう彼は被害者であり加害者でもあり、正義の復讐などというきれい事は存在しないと。なるほど、世紀を超えて生き残る古典はなかなかに深い!
監督ローレンス・オリビエ、脚本アラン・デント、製作総指揮フィリッポ・デル・ジュウディテェ、製作ローレンス・オリビエ、プロダクション・スーパーバイザーフィル・C・サミュエル、撮影デスモンド・ディキンソン、美術ロジャー・ファース カーメン・ディラン、作曲ウィリアム・ウォルトン、指揮ミュア・マシースン、音楽演奏フィルハーモニア・オーケストラ、アソシエイト・プロデューサーレジナルド・ベック、アシスタント・プロデューサーアンソニー・ブシェル。
Hamletローレンス・オリビエ、Claudiusベイジル・シドニー、Gertrudeアイリーン・ハーリー、Horatioノーマン・ウーランド、Opheliaジーン・シモンズ、Poloniusフェリックス・アイルマー、Laertesテレンス・モーガン、Osricピーター・カッシング、Gravedigerスタンリー・ホロウェイ、Priestラッセル・ソーンダイッ、Franciscoジョン・ローリー、Bernardoエスモンド・ナイト、Marcellusアンソニー・クエイル、Sea Captainニオール・マッギニス
First Playerハーコート・ウィリアムス、Player Kingパトリック・トルートン、Player Queenトニー・ターヴァー。
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