劇場公開日 2023年3月3日

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「まぁ、2023年にこの映画が見られること、それ自体が貴重。」バニシング・ポイント yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0まぁ、2023年にこの映画が見られること、それ自体が貴重。

2023年6月13日
PCから投稿

今年192本目(合計843本目/今月(2023年6月度)17本目)。

実は前にシネマートさんでやっていたようですが見逃したので、少し遠くの映画館までおでかけ。

古い映画のリバイバル版ということで、映画のストーリーそれ自体は変わっていないはずです(そもそも今回のリバイバル上映なだけで、前作が見られるわけではない)。

その観点でいうと、2022~2023年の映画の「一般的なお作法」があるか?というと微妙なところもあるし、結局のところ他の方も触れられていたように、この映画、一見すると、バイクなり車なりを乗り回しする「だけ」の映画のように見えますが、裏では人種差別であるとかLGBTの考え方(その考え方の「はしり」と言えるもの)が見え隠れしています。

換言すれば、それこそ「ポリコレワールド」じゃないのか等といろいろ言われた「ストレンジ・ワールド」他と違い、当時はまだLGBTの論点自体がなかったか、あっても「かろうじて意識されていた」と思われる当時の映画において、これらがどのように描かれていたのか、という「これらの描かれ方の流れ方」(その歴史)という観点で見ました(ストーリーというストーリーは一応ありますが、車なりバイクなりがぐるぐる回るだけに近い)。

こんな時にあってよかったミニシアター、というところです(少しお出かけすれば、大阪市の「大手の」ミニシアター(表現が変?)に少し遅れて「中堅の」ミニシアターが放映してくださるようです)。

映画としては、ストーリーというストーリーが感じられにくい(ただし、2022~2023年基準としてみたときの話)ものの、上述したように人種差別他について、「当時なりの描き方」がされており、それを今のそれらの取り組みと比較できたという「歴史の流れ」を感じとることができた(ただ、これは映画というより、この映画を流してくださった映画館のおかげ、ともいえるが)こともあり、フルスコアにしています。

結局は車なりバイクなりがどんどん走るタイプの映画で、今の(2022~2023)のような技術は使われていないため、「疑似車酔い」が生じる類型は考えにくいですが(一応、ちょっと酔うかな…というところも1か所だけあり)、気になったら後ろ側で見るなり目をそらすなりがおすすめです。

yukispica