劇場公開日 1969年8月2日

「伝統に抵抗する若者の極端な空想を結末に描くイギリス・ニューシネマのスチューデント・パワー」if もしも‥‥ Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0伝統に抵抗する若者の極端な空想を結末に描くイギリス・ニューシネマのスチューデント・パワー

2020年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

規律の服従を強いる全寮制名門校を舞台に、反逆児の過激な抵抗をシンボリックに描いたリンゼイ・アンダーソン監督の野心作。その表現は、人物も背景もオーソドックスな構図に収められて、落ち着いた流れを持つ演出です。映像の色調も伝統的な映画作りに合っています。時に前衛的な映像の遊び、盗んだオートバイに乗ってたどり着いたドライブインの小さなレストランでの女子店員とのシーンは制作年代を象徴するもの。主人公たちが受ける鞭打ちの体罰シーンは、模範的なカメラアングルとカット割りで痛みがひりひり伝わる巧みな表現。ラストのミックをリーダーとした反逆分子の赴くままの爆発を放つ凄惨な解決、このイギリスらしいブラック・ユーモアが衝撃的な余韻を残す。

ジョン・フォード監督の記録映画で解説を担当したアンダーソン監督、後にリリアン・ギッシュで「八月の鯨」を撮った映画愛溢れる映画理論家の、品の良いレジスタンス映画だった。

Gustav