「飛び道具とは卑怯なり?!」裸の拍車 TRINITY:The Righthanded Devilさんの映画レビュー(感想・評価)
飛び道具とは卑怯なり?!
護送中の賞金首(懸賞金を掛けられた指名手配犯)を巡る人間模様を描いた古典的西部劇映画。
洞窟の場面を除き、ほぼオールロケの映像は美しいし、A・マン監督も主演のJ・スチュワートも好きだが、脚本は雑でご都合主義的な結末も高くは評価出来ない。落石の演出は迫力あるものの、スタントの演技が甘い。
ただ、犯人と護送側の駆け引きは『決断の3時10分』(1957)みたいだし、アクションシーンも多いので、シナリオを丁寧に仕立て直してリメイクすれば却って面白い映画になるかも。
ブラックフィート族が単なる野蛮人としてでなく襲ってくる理由が語られたり、やむを得ない戦闘の末、全滅した彼らをスチュワート(ケンプ)が哀しげに見つめるなど、当時としては珍しく先住民を同情的に扱っているのはマン監督自身がマイノリティのユダヤ系だから。
オープニング・クレジットにキャストの表記がないと思ったら、スチュワート以外の出演者は先住民役を除けば『サイコ』(1960)のJ・リー(リナ)、ともに『特攻大作戦』(1967)のR・ライアン(ベン)とR・ミーカー(ロイ)、M・ミッチェル(ジェシー)の4人だけ。
ミッチェルは本作の前年、名作ミュージカル『雨に唄えば』に映画会社の社長役で出演。全然気がつかなかった…。
本作出演後、50歳で同年に他界。
NHK-BSにて初観賞。
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