「印象的な映像と老人の孤独」野いちご まままさんの映画レビュー(感想・評価)
印象的な映像と老人の孤独
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老人の懐古
その切なさ
それをロードムービー にのせて。シュールリアリズムな悪夢や、どこか象徴的な登場人物たちも。
張りのない時計や棺桶に入った自分自身という、死のイメージの悪夢から映画は始まる
好きだったいとこと野いちごを摘んだ思い出
シームレスにかつての思い出につながる。
かつての思い出が老人の中で核のように残っているのは市民ケーンのローズバッドのよう。
その女と同じ名前の女性が仲のいい男性2人と連れて、一緒にドライブをする連れになる。
本当に存在している人物なのか、老人の頭の中のイメージでしかないのかも曖昧。
明確に分かりやすい夢のシーンのほかも、どこか夢の中にいるよう。
喧嘩ばかりの夫婦も途中で車に乗せ、途中で下ろす。
ヒステリーな妻と、それを見下すような理性的ぶった夫。モラハラ夫。
もしかしたら主人公の昔の姿もこれに似てたんじゃないかとも思わせる。
老人の後悔と自省がそこに含まれているんじゃないかとも思えるくらい。
妻の浮気現場を目撃した記憶。
ドライブマイカーのような、男の喪失感。孤独。
男の人生の全てが含まれているんじゃないかと思える。
8 1/2でもあり、老人と海でもあり、市民ケーンでもあり、東京物語でもあり、黒澤明の生きるでもある。
いい映画。
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