肉体の悪魔(1947)のレビュー・感想・評価
全5件を表示
この邦題だが古典的なラブロマンス
男の方が十代なので初々しいと言った方がいいのか。よろめく女性も20代半ばなので今の感覚だと年取ってるとはいいがたい。ジェラール・フィリップを愛でる映画。
元祖少女漫画のビジュアル
邦題が刺激的な原作小説は未読だが、魅力的な俳優陣によって演じられることにより実写化の意義が高い作品だと思った。
当時24、25のジェラール・フィリップは17歳の役を演ることを心配したらしいが、細面な顔立ちに現れる屈託のない笑顔が眩しくて、彼が演ることによってむしろ主人公は美しく強引であざとく、でも爽やかで屈託がない最強の生きものになった。こんな高校生に言い寄られたら、そこら辺の世間体や倫理観など吹っ飛んでしまうのもやむを得ないような…。結果として女性は「子供を二人」抱えることになるので、その代償はあまりにも高いのだが…。
『肉体の悪魔』とは本の題名にしてもなかなかスゴい(原題は「体の中の悪魔」)。で、そのまま映画の題名にしたのもスゴい。然し昔の映画は“酔わせて”くれる。現代の映画にその感興はないなァ。
①フランス人の友達(30代半ば)が“ジェラール・フィリップはフランスではもう過去の人なのに、日本では出演映画の特集が組まれるなんて”、と驚いていた。
②ジェラール・フィリップは17歳の高校生には見えないが、天才子役でもない限り同年代の俳優ではあのvividな演技は出来ないだろう。
或いは、大人の国フランスとはいえ、17歳の高校生が人妻と肉体関係を結ぶ映画に、当時10代の俳優は流石に使えなかったのか。
あと、この映画のジェラール・フィリップは、後にフランス映画の生んだ希代のイケメン俳優と呼ばれるにはまだ痩せぎすで、それがフランソワのまだ幼く、でも一途な恋愛感情の
タイトルに惹かれて
負傷兵が何人も担ぎこまれてくる病院。マルトは手伝おうとして倒れてしまった。農作業をやらされていた高校2年のフランソワは早速ナンパ・・・おませさん。デートをして「婚約者がいる」と聞いても怯まない。彼女の帰宅後、母親の監視が厳しくなり、やがて結婚してしまったマルト。たった1日の恋だったのに2人はまた惹かれあう。そして戦地に赴いている夫の留守中、フランソワとマルトは結ばれる。
夫ジャックの子を身ごもっても休暇で帰ってくる夫に別れを告げる決心を2人でしたのだが、最終的にはフランソワと別れることになってしまった。母親は意外にも愛人を認めてしまっていることもフランス的なのだろうか・・・そして、ついにマルトが死ぬことに。
今でこそよくある不倫話だけど道徳的にみても問題作だったのだろう。もしかすると死んでいたのはフランソワなんじゃないかと『シックスセンス』的なことも考えてみた。戦争の話を避けたいというフランソワの会話もあったけど、反戦要素は全くなく、むしろ戦争に行った夫を冒とくさえしているような。こんなことが日常茶飯事になったら、誰も妻を残して戦争なんか行きたくなくなるかもなぁ。
全5件を表示