「核戦争を通して見える反戦への強い意志」渚にて みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
核戦争を通して見える反戦への強い意志
随分昔に観た作品であるが、昨今の不穏な世界情勢報道から、本作が真っ先に頭を過った。
本作は核戦争の末路を描いている。
1964年。第3次世界大戦=核戦争で、地球は徐々に死の灰に覆われていく。最後に残った南半球のオーストラリアにも死の灰が迫り、人類は滅亡の時を迎える。
死期が迫った人々は、苛立ちを見せながらも、最期まで、以前と変わらぬ生活をしていく。街は静まり返っている。暴動も騒乱も起きない。本当の絶望の前では活力は生まれない。
また、本作は、何故、核戦争は起きたのか、誰が起こしたのか等のプロセスについては殆ど触れていない。核戦争の末路に焦点を絞り込むことで、普遍的に核戦争の不条理を浮き彫りにしている。そして、静かに切々と反戦への強い意志を伝えている。
我々は、二度の世界大戦を経験している。
三度目は絶対に起こしてならないという反戦への思いを新たにした意義深い作品だった。
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