「観終わって残るのは、「ああ、洋画を観た!」という極上の満足感です 本当なら日比谷辺りの大劇場にお洒落して出掛けて観たい映画です」ナイル殺人事件(1978) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
観終わって残るのは、「ああ、洋画を観た!」という極上の満足感です 本当なら日比谷辺りの大劇場にお洒落して出掛けて観たい映画です
ラストのポアロの有名な台詞
「女の大いなる野望とは、愛を吹き込むことだ 」
誰に吹き込むの?
もちろん男に吹き込むのです
では、その愛とは?
それが本作のテーマです
男を自由に操れる力のこと、それが「愛」です
それこそが女の野望なのです
たまたまこの女性が吹き込んだ「愛」とは、計画殺人であったのです
つまり冒頭から殺人計画はスタートしていた訳です
素晴らしいエンディングで快い余韻が続きました
雄大でエキゾチックなエジプトの光景
それを美しくシネスコで撮る優秀なカメラと照明
ホテルやナイル川下りの蒸気船の豪華で見事なセットとそこで着られる素敵な衣裳の数々
その衣裳もTPOに合わせてどんどん変わり目の楽しいことこの上なしです!
ニーノ・ロータの劇伴も、キャッチーなメロディこそないものの、格調あるもの
そしてあくの強い名役者ばかり
ベティ・デイヴィス!
川下りの客船の支配人とともにコメディリリーフでも大活躍
ミア・ファロー!
お見事な配役でした
オリヴィア・ハッセー!
なかなかのクセのある役作りをみせてくれました
ジョージ・ケネディ!
胡散臭いアメリカ人にびったり
デヴィッド・ニーヴン!
これこそ英国紳士、コブラ退治の剣の技の格好よいこと!
ダブルの紺のブレザー姿が似合って素敵でした
ジェーン・バーキン!
この人の可憐で美しいこと!
こりゃあジョン・バリーもセルジュ・ゲンズブールもイチコロですな
エルメスのバーキンバックはこの人の為に作られたものです
そして何よりピーター・ユスティノフのポアロです
もう完璧、これこそイメージ通りのポアロです
オリエント急行殺人事件でのアルバート・フィニーが好評だっただけに、普通ならそのまま続投になるところ
それを押しのけてのポアロ起用も頷ける完成度の高いポアロです
彼がポアロを演じているのは次の3作品
1978年 ナイル殺人事件(本作)
1982年 地中海殺人事件
1988年 死海殺人事件
この3作品は監督はそれぞれ違うものの、脚本は全部アンソニー・シェーファーです
この人はヒッチコックのフレンジーの脚本を書いた人で、推理小説の作家でもあるとのこと
実力があります
この優れた脚本をもとに、監督の演出も良いです
ポアロによる容疑者それぞれの犯行推理を再現ドラマでみせるやり方は、まるで黒澤明の羅生門みたいでこれも楽しい
観終わって残るのは、「ああ、洋画を観た!」という極上の満足感です
酔いしれました
本当なら日比谷辺りの大劇場にお洒落して出掛けて観たい映画です
帰りは奮発して素敵なレストランにも寄ってみたい
そんな気分になれます
シャンパンが飲みたくなりました
いや、カビのような澱の浮く赤ワインの方が相応しいですね
あきさん、はじめまして、
フォローありがとうございました(´▽`)
クリスティ作品のファンなので
レビュー嬉しいです。
ケネス監督版も公開されましたね。
さて、
ピーター・ユスティノフさんのポワロ
良かったですよね。当時、
地中海、死海も観ました。
私は、海外ドラマの
デヴィッド・スーシェさんの印象が強いですが
「ナイル・・」
豪華なキャスト陣もステキでしたね。
ラストは、哀しくて・・
ステキなレビューを
ありがとうございました。