「ナイルに死す」ナイル殺人事件(1978) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ナイルに死す
『ローズマリーの赤ちゃん』でのやつれたメイクがそのままミア・ファロー。そりゃ、婚約者を紹介した途端に成金お嬢さんに奪われちゃったんだもんなぁ。そして静かに見守るポワロ。
ナイルくだりのカルナック号に乗り込んだ豪華俳優陣。リネットに恨みを持つ者が非常に多い。彼女の父に破産させられたバウワース(スミス)、小説のモデルにしたことで名誉毀損で訴えられそうなサロメ(ランズベリー)、アンドリュー叔父(ジョージ・ケネディ)、働いた金を要求するルイーズ(ジェーン・バーキン)などなど・・・。そして最も恨んでいそうなジャクリーンはカルナック号に乗船できなかったが、リネットたちを脅かす存在だ。
最初に訪れた神殿で石が落ちて来るピンチ。その後のアブシンベル神殿でジャクリーンと再会。彼女もちゃっかり乗船してくる。そして、ディナーの後、携帯していた短銃でジャクリーンがサイモンの足を撃ってしまい、その後リネットが殺される。動けないサイモンと、ずっと付き添っていたジャクリーンが最も疑わしくない人物となるのだ。
以前にも観てるのに思い出せないもどかしさ。疑わしくないジャクリーンが犯人だろうと先入観で見ていてもトリックがわからない。赤いマニキュア、ダイイングメッセージの“J”、見つかった短銃・・・ヒントを繋ぎ合せることができるのはポワロだけだ。やがて、犯人を恐喝していた節があるルイーズが殺され、それを目撃していたサロメも殺される・・・
終わってみると、ずっと貧乏だった者が純愛を通したことが判明し、まさしく悲劇・・・。ポワロの明快な解説に惚れ惚れと聴き入ってしまった直後の出来事だ。原作ストーリーの秀逸さもあるが、名優ばかりを使ったことも大成功。まんまと感動させられてしまいました。というか、ところどころのシーンを覚えているということは、何度見ても満足する映画なんだろうな。