「”クール・ブリタニア”を決定づけた一本」トレインスポッティング ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
”クール・ブリタニア”を決定づけた一本
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公開は96年、しかしこの物語の舞台は(一説では)80年代の終わりと言われる。つまりサッチャー政権による経済政策のあおりをモロに食らった年代。社会保障は切り詰められ、国営企業は民営化され、格差はますます拡大し、まさに人々は冒頭で吐き出されるレントンの「choose」スピーチそのままに、日常生活や人生の全てを自己責任で選択しなければならなくなった。
本作はよく「時代を変えた」と言われるが、ドラッグをめぐる快楽主義をブリット・ポップに乗せてテンポよく紡いで見せるスピード感、リズム感は今見ても全くもって色褪せない。この類稀なるセンスとともに、限られた予算の中でスタジオのセットを多用し知恵と創造性を存分に絞り出したことも大きかったに違いない。
やがて一人で旅立つ主人公。善悪の価値基準なく、信じるものも、仲間の後ろ盾も全くない。彼らは「瞬間」を生きている。その意識の流れが「born slippy」の調べと相まって、何度見直しても、今なお極上の陶酔を生み出してくれる。
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