捕えられた伍長のレビュー・感想・評価
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自由を求める脱走、しかし自由とは何か。
1962年。ジャン・ルノワール監督。第二次大戦下、ドイツ軍に降伏したフランス軍の捕虜は収容所から出られず、強制労働をさせられていた。そんな中、伍長とその仲間たちは何度も脱走を企てては失敗して懲罰を受ける。脱走を諦めて収容所内でのそれなりに豊かな暮らしに満足しかける伍長だったが、という話。 脱走→逮捕→連れ戻し→脱走、という形を繰り返しながら、逃走の仕方も捕まり方も随分とちがっていて、見ているうちにその「違い」がだんだん面白くなっていく映画。伍長と仲間たちとの「違い」もだんだん見えてくるので、それも面白い。コミカルな場面や恋愛の場面も的確に盛り込まれている。 コントラストが明確になって、雨粒までくっきり見える。もっとも、人物のクローズアップがシャープですばらしいのは4Kだからというわけではないだろう。親友の決死の脱出を時間をカウントすることで確認しようとする伍長の表情。すばらしい。 あれだけ脱走したがっていた伍長が最後に幸せそうに見えないところからもわかるが、収容所から逃げれば自由になるわけではない「苦い認識」がしっかりと描かれている。自由を求めて試行錯誤しながら、そもそも自由とは何かを考えざるをえないという苦さ。大人の映画だ。
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