「自然界の摂理を無視した独自ルールで突っ走るトンチキスリラー。」トラウマ 鮮血の叫び 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
自然界の摂理を無視した独自ルールで突っ走るトンチキスリラー。
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新録の日本語吹替付きで復刻されると聞いて初鑑賞。ジャッロ映画の巨匠ダリオ・アルジェントがアメリカで撮った、当時17歳だったというアーシア・アルジェント主演で描く首チョンパ犯罪サイコスリラー。怖いとかスタイリッシュとか狂気とかより、90年代ハリウッドのジャンル映画ってこうだったなと思い出させてくれるルックながら、整合性とかを大胆に無視したトンチキなストーリーの強引さがスゴい。あとまあ、殺人鬼がどんどん首をはねていくのだけれど、とりあえず胴体から首が離れてもしばらくは話せますねんという独自ルールが、余計なことなんて考えちゃダメなんだなと悟りの境地に誘ってくれる。それでいて拒食症に苦しむ若い女性の社会問題をわりと真面目に入れ込んでいて、聞くところによればアルジェント監督の娘のひとりが拒食症で苦しんでいたとのこと。その娘がエンドクレジットで陽気な演奏の前でアンニュイに踊ってる辺りも、いったい何事か理解に苦しむが、きっと監督には大切な映画なのでしょう。17歳のアーシアのあどけなさみたいなものが記録されていることも貴重な作品かと。
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