「地獄の黙示録の裏側で」友よ、風に抱かれて kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
地獄の黙示録の裏側で
戦争映画ではあるが、戦争シーンは演習風景を含め、ほんのちょっとだけ。コッポラが激しい戦闘シーンはもう描き切ったために、家族や周囲の人だけを中心にしたともとれる。
「戦争は憎いが反戦運動はもっと憎い」と主張するクレル・ハザード曹長(ジェームズ・カーン)。新兵であるジャック・ウィロー(D・B・スウィーニー)はベトナム戦死者を弔う儀式にはうんざりして、名誉勲章も階級ももっと上を目指したいがためにベトナムの前線行きを願っているのだが、「ベトナムに前線なんてない!」と言うクレルの忠告も受け入れようとしないのだ。
一方、バツイチのクレルはマンションの同じ階に住むサマンサ・デイビスと仲良くなるのだが、彼女はワシントン・ポスト記者でもあり、反戦家。戦争推進派ではないため、2人の恋も上手くいくのだが、このアンバランスさが面白い。クレルとしては「本当に戦争を憎んでるのは兵士だ」と筋を通していて、これ以上部下を死なせたくない一心なのです。
一見平和なバージニア州アーリントン。しかし、そこで訓練された兵士は否応なくベトナムへと送られる。徴兵ではなく士官学校まで進むジャックなんてのは、今でいう平和ボケなんじゃないかと思うくらいの野心家兵士。戦地の恐ろしさおぞましさを知ってる曹長たちは、いかに生き残るかを教えることしかできないもどかしさも感じているのです。
かなり呆気ない展開で無意味な戦争を描いているけど、それほど強い反戦メッセージは感じられません。ただ、皮肉とも言える意外な名誉勲章授与があったり、ローレンス・フィッシュバーンが無事に帰還したことなど、記憶には残る映画でした・・・
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