「カップルとの狭間」途方に暮れる三人の夜 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
カップルとの狭間
グレッグ・アラキの初期衝動は「マラノーチェ」を撮ったガス・ヴァン・サントに近く感じながら、白黒の映像から映し出される町並みやネオン看板など全体的なLookがピーター・エマニュエル・ゴールドマンの「沈黙のこだま」を想起させられる雰囲気を醸し出しているようにも。
ムーディーなヒット曲が流れる中、部屋に張られたポスターがLAパンクのXだったりで何となくPunkを感じる、唐突に場面が変わるカット割で劇中の過ぎていく時間が流れ、登場人物三人の何ら変わり映えの無い生活を淡々と描きながら微妙な関係性が奇妙な三角関係へと。
親友でもある女友達のアリーシャ、その彼氏クレイグに恋をするゲイのデイヴィッドは気持ちを隠しながらも二人に思いを告げる、アリーシャとデイヴィッドの気持ちは立場が違えど似たような感情にも、バイセクシャルの狭間で混乱するクレイグが結果的に場を収める展開、複雑な男女の関係性を感情を含めた劇的な物語として描くより、シンプルで淡白な話運びと演出描写が清々しくラストに繋がっていく。
INTERNETARCHIVEにて鑑賞。
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