「おもちゃってのは、スペースレンジャーよりずっといいものなんだぜ!」トイ・ストーリー たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
おもちゃってのは、スペースレンジャーよりずっといいものなんだぜ!
ピクサー・アニメーション・スタジオ初の長編作品であり、世界初のフルCGアニメーション映画作品である、ピクサーの代名詞『トイ・ストーリー』シリーズの記念すべき第1作。
実はおもちゃたちは命を持っており、人間が見ていないところでは勝手に動き回っている、という世界観の下、持ち主から逸れてしまったカウボーイ人形のウッディとスペースレンジャーの人形バズが繰り広げる冒険を描いたアクションコメディアニメ。
監督/原案は、ディズニーでアニメーターとして活躍したのち、ピクサーで短編作品の監督を務めていたジョン・ラセター。
今やアニメ界の伝説的存在となった彼の長編デビュー作が、この『トイ・ストーリー』である。
主人公のカウボーイ人形ウッディの声を演じるのは『ビッグ』『フォレスト・ガンプ』でお馴染みの、ハリウッドを代表する伝説的俳優トム・ハンクス。
第24回 アニー賞において、長編アニメ映画賞を受賞。
第21回 ロサンゼルス映画批評家協会賞において、アニメ映画賞を受賞。
少年時代に心を躍らせながら観ていた『トイ・ストーリー』を久々に見返してみた!
何度見ても吹き替え版で観てしまい、未だにトム・ハンクスの演じるウッディを観たことがありません。
今回も唐沢ウッディ&所バズでの鑑賞です。
『4』まで観た後に『1』を見返すと、冒頭のウッディとアンディが仲睦まじく遊んでいるシーンですでに涙。
頼り甲斐はあるが自己中心的で、ちょっと嫌な奴なウッディ。
自分の事をスペースレンジャーだと思い込む、マイペースな正義漢バズ。
そういえばコイツら最初はこんなキャラだったなー、と微笑ましくなりました。
カウボーイと宇宙飛行という対称的なルックスと同様、性格も真反対。
そんな2人が反発しあいながら、絆を深めていく様はやはり感動的で、ここはシリーズ中でも『1』だけが持ち得る素晴らしいエモーションだと思います。
バズが真実を知ってしまい、しかし尚スペースレンジャーである事を信じ飛び立とうとする場面は、昔観た時よりも心を抉られました。本当に悲しかった。
どれだけ自分の可能性を信じても、自分の器以上のものになる事は出来ないという現実を童話の中に落とし込んでおり、大人になってから鑑賞すると、この場面の残酷さがよくわかります。
しかし、そのような現実を示しながらも、つまり空を飛ぶ事はできなくても、かっこつけながら落ちる事は出来るんだということを示すラストシーンは非常に感動的で、観ていて勇気が湧いてきます。
自分の能力や才能の無さに嘆くのではなく、ロケット背負ってぶっ飛ばしてみせろ!って事を伝えているわけですからねぇ。大人が観ればそりゃ感動しますよ。
ギャグも切れ味があり面白い。こんなにウッディって顔芸してたんだ、と新しい発見。
バズのお隣の奥様ネタ大好き。
これといった欠点のない、エポック・メイキング的な傑作である事は間違いないですが、今観てみるとやはり映像はぎこちない。
特にアンディや妹、シドなどの人間はまだまだといった感じですね。
アンディのお父さんが出てこない理由について度々指摘されますが、単純に当時の技術では大人の男が描写できなかったからではなかろうか、と思ったりもしました。
なぜおもちゃだと自覚していないバズが人間の前で動かなかったのか、とか疑問が残るところもあるっちゃあるんですが、脚本もしっかりと考えられてますし、キャラクターも魅力的。
ランディ・ニューマンの音楽も素晴らしいし、文句なしの傑作です!