劇場公開日 1977年6月11日

「サマーとウィンター」テンタクルズ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0サマーとウィンター

2020年11月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 高校時代、「テンタ」とあだ名された同級生がいた。もちろんタコに似てるからという理由で。当時はタコを英語で言うとテンタクルだと思っていた同級生も多く、ビートルズを知ってる者だけが正解にたどり着いたものだった。

 『ジョーズ』(75)の大ヒットによって便乗商法的に次々と動物パニック映画が作られた70年代後半。この映画もそうだし、『オルカ』(77)という作品もシャチ愛を感じるという、独特なものがあった。たしかにB級作品ではあるが、東宝特撮映画の大ダコに比べたらマシだと思うし、その東宝作品である『ゴジラ対ヘドラ』(71)の公害怪獣ヘドラの水中棲息期にも巨大タコがそっくりなのも興味深いところ。

 タクシー無線の様子から始まり、ヨットを楽しむ子供たちもトランシーバーでのやりとりをしたりで、意外なことに無線によってタコが狂暴化したという設定。また、トンネル工事会社の振動装置によって魚が逆さまになって沈んでるという海底風景も印象的だ。また、けっこう子供が犠牲者となるのは道義上いかがなものかと・・・

 映像は時折静止画になったり、人物の描き方が単調だったり、やはり凡作であることは否めない。しかも社長役のヘンリー・フォンダの演技がお粗末すぎた。当時は『ポセイドン・アドベンチャー』の泣かせてくれたおばちゃんシェリー・ウィンタースも出演していて、嬉しくなったものです。

 そんな映像よりも音響効果がけっこう良かったりして、音楽も途中に悲しい場面で楽し気な曲が使われてる失敗はあるものの、全体的にイタリアっぽい雰囲気が漂っていました。俳優の声はイタリアっぽく全てアフレコであるためか、どうしても抑揚が足りない。カリフォルニアだというのにイタリア感もあるのです。

 まぁ、そんなひどさもあるのに、シャチ愛が感じられることで評価はちょっとプラス。「海のギャング」、「海の暴れん坊」というイメージを払拭するかのように人間と友達なんだと訴えてくる(暴れてましたけど)。シャチは捕食目的で人間を襲ったことはないそうです。

kossy