「我輩は凡人である」天使 L'ANGE 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
我輩は凡人である
前衛的で実験的なアート作品の如き、トーキーとサイレント映画を混ぜた感覚、美術的センスと絵画のような映像にストップモーションアニメを思わせる描写、ヴァイオリンやその類の音の旋律が不穏なクラシックとして、唐突にウッドベースのような?コントラバスか?からのJAZZに様変わりな心地よさと、映画全体の雰囲気を変える電子音楽に変拍子な音世界、視覚や聴覚に驚愕する程の刺激がブッ込まれる興奮度。
繰り返される映像と、それぞれの物語、暗闇からの閃光、死んでいるような顔、得体の知れない存在の数々に、人間を描いているのかすらわからない、娯楽性を削いだデヴィッド・リンチ、コミカルな場面すら混沌としたホラー映画にも思える。
これ60分程度、1時間半もあったら深い眠りに陥りそうなギリギリの上映時間、何も変わらないが自分の中の何かが覚醒したような気分に、また恐ろしい映画を観てしまった。
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