狼よさらばのレビュー・感想・評価
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気持ちは分かる
明らかな強盗殺人をやる輩に手加減など無用。
被害者の身内なら加害しようとした輩に情状酌量の余地はないだろう。
まじめな営業マンだった主人公ポールが、妻を殺され、娘もめちゃくちゃにされ、嫌っていた銃を掴む。
最初の強盗を射殺した際は嘔吐していた彼がエスカレートしていく様に
市民感情も高まりをみせて犯罪に抵抗するエピソードも出始める。
有能なフランク刑事がしっかり的を絞った包囲網を敷き、ポールを見付けてしまうけれど、上司は犯罪率が下がっている事を理由に逮捕しない。
ラストの笑みとシューティングポーズは自警の結果による経験で得たものがそうさせたのだろうが、妻と旅行していた幸せだったあの頃の善良なポールが壊れてしまった姿にも見える。
物語の中でも作業員たちが賊を追いかけて過剰な攻撃を加えて骨折させるまでやっている。自警と言うのは自制が効かず、やり過ぎてしまうのはわかるし、原作は自警に対して否定的な意味合いだったようだが、映画では逆の方向で人気を得たのは皮肉か…。
タイトルなし(ネタバレ)
一年後にアメリカはベトナム戦争に負けて這々の体で逃げ出す。戻りしマンハッタンのウェストサイドからはワールドトレードセンターが2つ建っているのが見える場所があったかもしれない。あれから、50年。あれから25年。
古臭いね。
ブロンソンがキャラハンにもポパイにもなれなかった訳が分かる映画だ。
それでいて、この映画リメイクされているって!?
何だろうね。
音楽もハービー・ハンコックと言ってもJAZZぽく無い。ましてや、ブロンソンのイメージってアメリカって言うよりも、イタリア、フランスつまり、ヨーロッパ。アメリカが似合わないじゃないかなぁ。ミスター・ビーンがアメリカ似合わないのと同じだよ。
現代アクションのようで、じつは西部劇でした
狼よさらば
1974年公開 米国映画
チャールズ・ブロンソン主演
心を鷲掴みにされました
傑作です
邦題の「狼よさらば」の狼は1970年の彼の主演作品「狼の挽歌」から拝借しただけです
物語は全く別物
「映画も原作小説もDeath Wish(死を願う)」が原題ですが、邦題の方がずっと素晴らしく内容を表しています
チャールズ・ブロンソンといえば、「うーん、マンダム」と言うぐらい定着しています
半世紀前のCM の台詞なのに
今でもそうなのだから凄いものです
このCM を撮影したのは大林宣彦監督なのは有名
それはさておき、ブロンソンと言えば、そのCM のようにやはり西部劇ですが、実は「夜の訪問者」、「雨の訪問者」のような現代アクションものも良作があります
本作がその一つです
ところが、本作は現代アクションもののようでじつは西部劇でした
暴行され殺された妻、廃人にされた娘の復讐を誓うガンマンの物語です
保安官も登場します
主人公が出張したのはアリゾナ州ツーソンでした
そこは「OK 牧場の決斗」の舞台ツームストーンの近く
劇中でも、映画村みたいな西部劇の街並みを再現した観光施設がでてきます
そこで「OK 牧場の決斗」の寸劇を観光したことをきっかけにして、主人公は狼になってしまうのです
そこの寸劇で保安官は「日暮れ前に町を出ろ」との台詞を言います
それがこの映画の終わり方になるというなかなかに憎い演出でした
チャールズ・ブロンソンは公開当時53歳、既に初老ですから、昔みたいに危険な男の空気は発散していません
ニューヨークの大手住宅開発会社の建築家の役です
それでも主人公は実は父の手ほどきで銃の扱いが上手いのです
仕事相手から、お土産に拳銃をプレゼントされたことで自警団の男になりました
仕事相手の男ジェインチルは主人公の訳ありを実はきいていて、それでわざとガンクラブに連れだしたのかも知れません
男なら復讐してやるぐらいの気概を持てと励ますつもりだったのでしょう
しかし主人公の見事な拳銃の腕前を見て、何かを思いついようです
監督は彼の表情を大アップで長く写すのです
主人公への土産品が決まったのです
もしかしたら主人公を狼にするように仕向けたのは実は彼ジェインチルだったのかも知れません
彼はこんな台詞を言っているではないですか
「銃を使いこなすのは実に面白い、市民の大半は銃を恐れてる、毒蛇のように食いつくからな、だが、道具にすぎん、金づちとか斧と同じだ
昔は別にエサを用意して家畜泥棒を追っ払っていた、銀行強盗も
ここは銃の土地だからな
ニューヨークと違って、ここじゃ皆持っている
ここでは、夜中に街や公園を歩けるんだ
強盗をやったら逆に撃たれるからな」と
果たして主人公はニューヨークに戻って、土産に貰った拳銃でゴロツキ退治を始めます
最初は偶然の正当防衛だったものが、次第に復讐でもなく殺すこと自体が楽しみの殺人鬼=狼になってしまうのです
ジェインチルから「君は弱腰の自由主義者だろう」といわれ、最初の殺人の時は嘔吐するほどの罪の意識があったのに
字幕ではアマチュア刑事となっていますが、英語ではヴィジランディキラーと言っています
自警団という意味です
廃人にされた娘の夫は、大きな音で音楽を聞き気分が浮き立っているような主人公をなじります
それくらい、主人公は殺人が楽しくなってしまっています
もはや復讐なんて頭から飛んでしまっています
わざと夜道や、ゴロツキに狙われそうなところに出掛けて
、自らをエサにして、先に手を出させて撃ち殺すのです
4人組に襲われるシーンは正にOK牧場の決斗でした
結局、被弾して病院に担ぎこまれ、敏腕警部に逮捕される筈が、主人公の自警団行動がニューヨークの強盗犯罪を半減され、市民からも喝采をうけたことから、上層部の逮捕しないとの判断により、ニューヨークから出て行けと言われるのみです
そこで主人公は「日暮れまでに?」というわけです
エピローグはシカゴ
主人公はシカゴに転勤することになったようです
シカゴは全米二番目の大都会、そしてギャングの町、
アルカポネは昔の話でも、今もゴロツキは町中に一杯です
着いて早速、ゴロツキ連中を目にして、主人公はうれしそうな笑顔を見せるのです
シカゴでの主人公の自警団行動は映画にはなっていません
もっと続きをみたい!と言う方は、ご安心を
チャールズ・ブロンソンが同じ主人公の映画が以下の4本あります
ロサンゼルス 1982年
スーパーマグナム 1985年
バトルガンM‐16 1987年
狼よさらば 地獄のリベンジャー 1994年
蛇足
同じ1974年のサブウェイ・パニックと同じニューヨークの地下鉄駅が登場します
夜のシーンがメインなのでゴロツキが地下鉄車内にも駅通路にも、もちろん夜道の街角にもうろついています
しかし、車内も通路もまだサブウェイ・パニック同様にゴミが散乱してたり落書きだらけにはまだなっていないのが伺えます
この頃から、急激に治安が悪化していったようです
サイゴン陥落でベトナム戦争が終わったのは1975年4月末のこと、すでに米軍撤退は進んでいて、復員してきたベトナム帰りの若者がゴロツキ化してきたのかも知れません
しかも戦地で麻薬を覚えて帰って来たのでしょう
本作は大ヒットして、劇中のように銃には銃の風潮が当たり前になりいまのような全米が銃社会になってしまいました
本作のツーソンのジェインチルなら21世紀の今の有り様をどう思うのでしょうか?
これで当たり前だとやっぱりいうのでしょうか?
原作は元々は自警団行動を批判するものだったそうです
皮肉なことです
音楽はジャズフュージョンの巨匠ハービーハンコックと言うのも得点高いです
当時はまだフュージョンと言う言葉は無くてクロスオーバージャズと言っていました
犯罪者がいっぱい
総合70点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
この時代のニューヨークならぱ治安が悪いと聞くから、このような犯罪者は普通にいそう。でも家族を襲われたことで犯罪者を追い詰めて復讐することを中心にするのかと思いきや、話は思いがけない方向に流れてブロンソンが警察に追われる身になる意外性が出てくる。彼を探すために推理する警察と、簡単に彼を逮捕できない事情も面白い。だけど結末は彼だけに焦点があたり、いつのまにか犯人のことも家族のこともおざなりになっているのが気にかかる。
いつもは最初から冷静で豪胆な役柄の多いブロンソンが、ここでは最初は真面目な市民で自らの殺しに動揺するのが珍しい。だが普通の善良な市民が変わっていく姿に良さがある。
この当時は監視カメラやDNA鑑定も無くて犯罪も雑で、遠慮なく次々に銃を撃つブロンソンも今ならばもっと簡単に正体がばれそう。犯罪が多すぎるのに、捜査する側は技術的にも人数的にも追いつかない、そういう時代だったのだろう。
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