「忘れられない悲哀のまなざし」テス humさんの映画レビュー(感想・評価)
忘れられない悲哀のまなざし
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純粋なテスの瞳にうつっていたのどかな田園とささやかな家族との暮らし。
それは、あの日までの幸せだった。
下心を持つ大人(美しい娘を奉公に出し経済力を得ようとした両親と欲望の獲物にしようとした男たち)と自分本位だった夫に人生を翻弄されたテスの終末。
警察に追われ疲れ果て、古代の天文台ともいわれたストーンヘンジの石の上に横たわるテスの姿がある。
華麗な美とひきかえになった哀しい運命を日と陰に表したのだろう。
家族を貧しさから助けるためのやさしい気持ちではじまった人生の狂いが辛い。
そして、親がわかっていながらそうする貧しさにまとわりついた断ち切れない負の感情が悲しい。
彼女の最高に輝かしい一瞬は、フルートのやさしい音色をきき彼への恋に落ちたあの時がピークだったとおもう。
ヨーロッパの風景など映像美は印象的なものだったが、ただただ辛いストーリーの余韻が大きく、しばらく心がのまれたままだ。
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Mさんのコメント
2023年4月11日
私もあまりの話の流れに言葉を失いました。
まさかこんな話だったとは、という感じです。
あの日、お父さんが、自分の家系について何も聞かなければ、貧しくとも、普通に生きていったろうにと思うと、残念でなりません。