「おそらくアメリカでは切実な問題をエンタメで表現している。ノンストップで最後まで突っ走るのは「スピード」仕込みか。」ツイスター あふろざむらいさんの映画レビュー(感想・評価)
おそらくアメリカでは切実な問題をエンタメで表現している。ノンストップで最後まで突っ走るのは「スピード」仕込みか。
かなりおもしろかった。
製作総指揮にスピルバーグ。監督はヤン・デ・ボン。
子供の頃、竜巻によって父親を失ったジョー・ハーディング。
彼女は成人してストーム・チェイサーになっていた。
竜巻の情報を分析し、いちはやく人々に知らせるための研究をしている。
彼女の夫ビルもストーム・チェイサーだったが、今は気象予報官になっている。そして、ジョーと離婚することになっている。
ある日、ジョーに呼ばれたビルは離婚届を受け取るつもりで婚約者とともにストーム・チェイサーたちのもとを訪れる。
しかし、ジョーはまだサインしていなかった。ビルを呼んだのは、彼が発案した発明品が完成したからだった。ハリケーンの内部にセンサーを放り込み、そこから情報を収集する装置だ。
その時巨大な竜巻が発生し、彼らはそのハリケーンを追って出発するのだった。
製作総指揮のスピルバーグがどこまで口出しをしたかわからないが、竜巻版「ジョーズ」といった印象。
また、シナリオをマイケル・クライトンが書いているため、「ジュラシック・パーク」っぽさがあちこちに感じられる。
つけくわえるならば女性が主役で男性と一緒に車で走り続けるという意味ではヤン・デ・ボンの「スピード」を踏襲しているとも言える。本作はスピードを落としても車は爆発しないのだが、竜巻と追いつ追われつするチェイスはヤン・デ・ボンらしさがある。
アメリカはしょっちゅう竜巻で被害を被っているニュースを聞くので、情報収集は本当に必要なのだろう。エンターテイメントに仕上げてはいるが、深刻なテーマを扱っているのだと思う。
目の前で竜巻に父親を奪われたジョーがトラウマを解消していく姿は、あまり重く描かれてはいない。それでもストーリーとしてきちんとおさえることで、物語に厚みを持たせている。
製作費は135億円。
興行収入は730億円。
1996年全世界興行収入トップ10の2位に入っている。
ちなみに1位は「インデペンデンス・デイ」(興行収入1,200億円)。3位は「ミッション:インポッシブル」(670億円)。
規模感の大きさで売り上げが決まるわけではないだろうが、結果的にはそういう順位付けになっていて面白い。