劇場公開日 2022年11月3日

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「映画史に残る6分間」独裁者 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 映画史に残る6分間

2025年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

たまたま「ヒトラー~虚像の独裁者」という本を読んでいて、ふと、久しぶりに本作を観たくなりました。ずっとサイレントにこだわっていたチャップリン初となるトーキー作品のラストにあの有名な6分間のスピーチがある、というところにも深い感慨があります。今、まさにドイツ軍がポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発する最中にヒトラーを揶揄する作品をつくることがどれほど勇気がいることか、改めてチャップリンの熱意に感銘を受けます。チャップリンとも親交があった淀川長治さんが、チャップリンが生涯大切にしたことが3つあると本に書かかれてました。「愛」と「勇気」と「サムマネー」、この3つは本作の製作にも強く感じられます。チャップリン映画は、本人が脚本、監督、主演ということもあって、主人公に本人がそのまま投映されているような感覚で観てしまいます。ドイツ国民を鼓舞し、熱狂させ、世界を動かし、いまだにその人物像が研究され続けているヒトラーという人間を、架空の国トメニアの独裁者アデノイド・ヒンケルとして描き、その一方で、迫害されているユダヤ人の床屋を一人二役で演じるというアイデアに脱帽です。チャップリンならではのドタバタ喜劇的要素は、他の作品の方がずっと面白いと思いますが、やはり最後の6分間までの悲喜劇があるからこそ、あの力強いスピーチに心を打たれるのだろうと思います。今まさに他国への侵攻を指示している国のリーダーらに聞いて欲しくなります。が、DVD特典映像の中で、ヒトラー本人も本作を観ていただろう、怒るのではなく、このくらいのユーモアは理解する人だった、というような回想を元側近が語っていました…。

赤ヒゲ
Mさんのコメント
2025年9月15日

ヒトラーもこの作品を見ていたというのは驚きでした。しかも、怒るのではなく、というのがとても意外です。
面白い情報ありがとうございました!

M
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